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ウミガメの巣に「プラスチック岩石」が埋まってる!?地球最果ての島で衝撃の発見

2026 3/12
生き物・自然
2026年3月12日
🕑この記事は約6分で読めます
シルミー

はかせ、プラスチックが岩石になるってどういうこと?

はかせ

実はブラジルの研究者たちが、南米最東端のトリンダージ島で、プラスチックごみが熱で溶けて岩石化した「プラスティグロメレート」という物質を発見したんです

トリンダージ島は、ブラジル本土から1,200キロメートルも離れた絶海の孤島だ。人が住んでいない無人島で、アオウミガメの重要な繁殖地として知られている。

ところがサンパウロ州立大学の研究チームが調査したところ、この地球上で最も人里離れた場所のひとつで、プラスチックが岩石と融合した塊が大量に見つかった。研究結果は学術誌Marine Pollution Bulletinに発表されている。

目次

プラスチック岩石「プラスティグロメレート」の正体

砂から這い出るアオウミガメの赤ちゃん
Photo by Zoshua Colah on Unsplash

溶けたプラスチックが自然の岩と一体化

プラスティグロメレートとは、プラスチックごみが高温で溶け、火山岩や砂と混ざり合って固まった人工物のことだ。見た目は普通の岩石だが、よく見るとカラフルなプラスチック片が岩の表面や内部に埋め込まれている。

トリンダージ島は火山島で、島全体が玄武岩でできている。海岸に打ち上げられたペットボトルや漁網などのプラスチックごみが、強い日差しや火山活動の熱で溶け、火山岩の隙間に入り込んで冷えて固まるという現象が起きていた。

世界各地で報告され始めた新種の「岩石」

プラスティグロメレートという言葉が初めて使われたのは2014年、ハワイでの発見がきっかけだった。その後、イギリスのコーンウォール地方やインドネシアのバリ島など、世界中の海岸で同様の物質が報告されるようになった。

ブラジルの研究チームは、トリンダージ島で見つかったプラスティグロメレートを詳しく分析した。その結果、含まれているプラスチックの大半はポリエチレン、つまりレジ袋や漁網に使われる素材だとわかった。

アオウミガメの産卵場所に広がる汚染

最も深刻なのは、これらのプラスチック岩石がアオウミガメの産卵エリアに集中しているという事実だ。トリンダージ島には毎年、約7,000頭のアオウミガメが産卵のために上陸する。

研究を主導したフェルナンダ・アベサ博士は「ウミガメが巣を掘る砂浜に、プラスティグロメレートが無数に埋まっている」と指摘する。卵を産むために穴を掘った母ガメが、プラスチック岩石の破片を砂と一緒に巣に埋めてしまう可能性が高いという。

ウミガメの未来を脅かす3つのリスク

プラスチックごみが漂着した無人島の海岸
Photo by Bernd 📷 Dittrich on Unsplash

孵化温度が変わると性別が変わる

ウミガメの卵には、温度によって性別が決まる「温度性決定」という特徴がある。砂の温度が高いとメスが、低いとオスが生まれる仕組みだ。

プラスティグロメレートは普通の岩石より熱を吸収しやすく、日中は高温になりやすい。逆に夜は冷えやすい。巣の中の温度が不安定になると、オスとメスのバランスが崩れる恐れがあると研究チームは警告している。

有害化学物質が卵に染み込む

プラスチックには、製造時に添加される化学物質が含まれている。可塑剤や難燃剤、紫外線吸収剤などだ。これらの物質は内分泌かく乱作用を持つものが多く、ホルモンのバランスを狂わせることがわかっている。

プラスティグロメレートが砂に混ざると、雨水や海水に溶け出した化学物質が卵の殻を通過して胚に達する可能性がある。発育不全や孵化率の低下につながるリスクが指摘されている。

物理的な障害物として孵化を妨げる

孵化した子ガメは、砂を掻き分けながら地表まで這い上がってくる。しかしプラスティグロメレートは普通の砂より硬く、子ガメの爪では突き破れないことがある。

研究チームは実際に、砂の中に埋まったプラスティグロメレートの塊を掘り出してみた。その結果、5センチメートル四方の岩石状の塊が、産卵場所のあちこちに埋まっていることが確認された。

地球最果ての島が教えてくれること

海流が運ぶプラスチックごみの終着点

トリンダージ島は、ブラジル海流と南大西洋環流がぶつかる場所に位置している。世界中の海を漂うプラスチックごみが、海流に乗ってこの島に集まってくる。

研究チームが海岸で回収したプラスチックを調べたところ、ブラジル国内だけでなく、アフリカや南米の他の国々から流れてきたものも含まれていた。島に漂着するごみの量は年々増加しており、2019年から2022年の間だけで約3倍に増えたという。

無人島でさえ逃れられない汚染

アベサ博士は「人が一人も住んでいない島で、これほど大量のプラスチック汚染が見つかったことに衝撃を受けた」と語る。トリンダージ島には、ブラジル海軍の小さな観測基地があるだけで、観光客も立ち入れない。

それでもプラスチックごみは容赦なく島を覆い、自然の地質学的プロセスに人工物が組み込まれてしまった。研究チームはこれを「人新世の地層」と呼んでいる。人類の活動が地球の地質そのものを変えてしまった証拠だという。

アオウミガメを守るために今できること

アオウミガメは国際自然保護連合のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている。気候変動や乱獲、海洋汚染など、さまざまな脅威にさらされている。

ブラジル政府は現在、トリンダージ島の海岸清掃を強化する方針を打ち出している。しかし島が遠すぎて、頻繁に清掃隊を派遣するのは難しい。根本的な解決にはプラスチックごみの排出量を減らすことが不可欠だと、研究チームは訴えている。

特に漁網やロープなどの漁業用プラスチックは、海洋プラスチックごみの約46%を占めるという調査もある。生分解性素材への切り替えや、使用済み漁具の回収システムの整備が急務だ。

シルミー

ウミガメの赤ちゃんが無事に海に帰れるようになってほしいな

プラスティグロメレートの発見は、プラスチック汚染が一時的な問題ではなく、地球の地質に刻まれる永続的な痕跡になりつつあることを示している。遠く離れた無人島の砂浜で起きていることは、私たちの日常生活と海がどれほど深くつながっているかを教えてくれる。

参考文献:
Green turtle nests may bury ‘plastic rocks’ and endanger the species
出典: Phys.org

アイキャッチ画像: Photo by Igor Sporynin on Unsplash

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生き物・自然
Marine Pollution Bulletin アオウミガメ サンパウロ州立大学 トリンダージ島 ブラジル プラスチック汚染 プラスティグロメレート マイクロプラスチック 人新世 海洋ごみ 海洋環境 温度性決定 環境保全 絶滅危惧種
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