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火星の岩に刻まれた「クモの巣」模様、古代の地下水が作った証拠だった!

2026 3/10
宇宙・天文
2026年3月10日
🕑この記事は約6分で読めます
シルミー

はかせ、火星の岩にクモの巣みたいな模様があるって聞いたんだけど、本当?

はかせ

よく知ってますね! NASAの探査車キュリオシティが見つけたんです。これ、実は大昔に火星の地下を水が流れていた証拠なんですよ

火星探査車キュリオシティは、火星のゲール・クレーター内で活動を続けている。2024年12月、この探査車が撮影した岩の表面には、まるでクモの巣のような複雑な網目模様が刻まれていた。研究チームはこの模様を分析し、古代の地下水が岩の割れ目に鉱物を沈着させた跡だと結論づけた。

目次

クモの巣模様はどうやってできたのか

火星の岩に刻まれた網目状の模様
Photo by Antonia Glaskova on Unsplash

地下水が鉱物を置き去りにした

この網目模様は、地質学では「ボックスワーク」と呼ばれる構造だ。地球でも洞窟の天井などで見られる。仕組みはこうだ。

まず岩に細かい割れ目ができる。そこに地下水が染み込み、水に溶けていた鉱物が割れ目の中で結晶化する。時間が経つと、割れ目の外側の柔らかい岩は風化して削られていく。でも鉱物で固められた割れ目の部分だけは硬いから残る。

結果として、網目状の突起が岩の表面に浮き上がって見えるようになる。まるでクモの巣を岩に貼り付けたような見た目だ。

ゲール・クレーターの特殊な環境

キュリオシティが活動しているゲール・クレーターは、直径約154キロメートルの巨大なクレーターだ。中心にはシャープ山という高さ5,500メートルの山がそびえている。

このクレーターは約36億年前に形成された。その後、長い時間をかけて水が流れ込み、湖ができていた時期があったと考えられている。湖の底には泥や砂が積もり、やがて固まって岩になった。

今回のボックスワークが見つかったのは、この堆積岩の層だ。つまり、湖があった時代かその後に、地下水が岩の中を循環していた証拠になる。

鉱物の種類が語る水の歴史

キュリオシティには、岩の成分を分析する装置が搭載されている。この装置でボックスワークの鉱物を調べたところ、硫酸カルシウムや酸化鉄が多く含まれていた。

硫酸カルシウムは、水に溶けやすく、水が蒸発するときに結晶になる鉱物だ。地球では石膏として知られている。これが大量に含まれているということは、水が繰り返し岩の中を通り、蒸発を繰り返していたことを示している。

酸化鉄、つまり錆びた鉄の成分も重要だ。これは水と酸素が同時に存在した環境でないとできない。火星の表面が赤茶けて見えるのも、この酸化鉄が広がっているからだ。

火星の水はどこへ消えたのか

地下水が作る鉱物の結晶
Photo by 𝕡𝕒𝕨𝕤 𝕒𝕟𝕕 𝕡𝕣𝕚𝕟𝕥𝕤 on Unsplash

大気が薄くなって水が宇宙へ逃げた

今の火星には、液体の水はほとんど存在しない。気温がマイナス60度くらいで、気圧が地球の約100分の1しかないからだ。この条件では、水はすぐに蒸発するか凍ってしまう。

でも36億年前の火星は、もっと暖かく、大気も厚かった。二酸化炭素を主成分とする大気が温室効果を生み、地表の温度を保っていたと考えられている。

ところが火星には、地球のような磁場がない。磁場がないと、太陽から飛んでくる高エネルギーの粒子(太陽風)を防げない。太陽風は大気をじわじわと削り取っていった。大気が薄くなると温室効果が弱まり、気温が下がる。水は蒸発して宇宙へ逃げるか、地下深くに氷として閉じ込められた。

地下に氷が残っている可能性

2018年、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の探査機が、火星の南極地下約1.5キロメートルに液体の水の湖が存在する証拠を発見した。塩分が高く、凍りにくくなっているらしい。

また、2020年には火星の赤道付近でも、地下数メートルのところに大量の氷が埋まっている場所が見つかっている。つまり火星の水は完全に消えたわけではなく、地下に隠れているのだ。

生命が存在した可能性

地下水が循環していたということは、微生物が生きられる環境があった可能性も高まる。地球でも、地下深くに微生物が住んでいる場所がある。光が届かなくても、岩と水の化学反応でエネルギーを得て生きている生物がいるのだ。

キュリオシティは今後も、ゲール・クレーター内で有機物の痕跡を探し続ける予定だ。もし地下水の跡から有機物が見つかれば、生命存在の証拠に一歩近づくことになる。

今後の火星探査への影響

火星探査車と未来の有人基地イメージ
Photo by ostudio on Unsplash

将来の有人探査に水資源を活用

火星に人間を送り込む計画が、NASAやスペースX社などで進められている。その際、最大の課題の一つが水の確保だ。地球から水を運ぶには莫大なコストがかかる。

もし火星の地下に氷が大量にあるなら、それを掘り出して溶かせば飲み水になる。さらに電気分解すれば、酸素と水素に分けられる。酸素は呼吸に使い、水素はロケット燃料にできる。

今回のボックスワークの発見は、地下水が広い範囲に存在していた証拠だ。つまり火星のあちこちに水資源が眠っている可能性がある。どこに基地を作るかを決めるときの重要な手がかりになる。

他の探査車との連携

現在、火星ではパーサヴィアランス探査車も活動している。こちらはジェゼロ・クレーターという、かつて川が流れ込んでいた場所を調査中だ。

パーサヴィアランスは岩のサンプルを採取し、将来地球に持ち帰る計画が進んでいる。キュリオシティが見つけたボックスワークと似た構造がジェゼロ・クレーターでも見つかれば、火星全体の水の歴史を描き出せるかもしれない。

地球外生命探査の新しい視点

ボックスワークのような地下水の跡は、他の惑星や衛星でも探すべき目印になる。たとえば木星の衛星エウロパや土星の衛星エンケラドスには、厚い氷の下に液体の海があると考えられている。

もしこれらの衛星に探査機を送るなら、氷の割れ目や噴出物の跡を重点的に調べることで、地下の海の性質を知る手がかりが得られるだろう。火星での発見は、太陽系全体の水と生命を探す探査にもつながっている。

シルミー

火星の昔の姿がどんどん分かってくるんだね。早く生命の痕跡も見つかるといいな!

キュリオシティは2012年の着陸以来、12年以上も火星で活動を続けている。今回のボックスワーク発見は、まだまだ火星には解明されていない謎が残っていることを教えてくれた。これからも新しい発見が続くだろう。

参考文献:
Curiosity rover finds clues to Mars’ watery past in rocky ‘spiderwebs’
出典: Space.com

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