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馬のいななきに隠された秘密! 2つの声を同時に出す驚きの仕組み

2026 3/08
生き物・自然
2026年3月8日
🕑この記事は約6分で読めます
シルミー

はかせ、馬の鳴き声ってなんであんな独特な音なの?

はかせ

面白いところに気づきましたね。実は馬がいななくとき、2つの全く違う音を同時に出しているんです

馬の「ヒヒーン」という鳴き声は、誰もが知っている特徴的な音だ。でも、あの音がどうやって作られているのか、科学者たちは長い間わからなかった。

スイス連邦工科大学の研究チームが、馬の発声メカニズムをついに解明した。馬は低い声と高い口笛のような音を、まったく別々の方法で同時に作り出しているという。

目次

馬は2つの声を同時に出している

いななく馬の横顔
Photo by Xavier Gonzalez on Unsplash

低音は声帯、高音は喉の袋

馬がいななくとき、私たちが聞いているのは実は2種類の音が混ざったものだ。1つは人間が歌うときと同じように、声帯を振動させて作る低い音。これは「ドレミファソラシド」の「ド」や「レ」くらいの低さだ。

もう1つは、馬の喉にある「喉頭小嚢」という袋状の器官で作られる。この袋に空気が通るとき、ちょうど風船の口を引っ張って空気を抜くと高い音が出るのと同じ原理で、高音の口笛のような音が生まれる。

研究チームは、亡くなった馬の喉頭を使った実験で、この2つの音が独立して作られることを証明した。人工的に空気を送り込むと、声帯部分からは低音が、喉頭小嚢からは高音が、それぞれ別々に発生したのだ。

なぜ2種類の音が必要なの?

低音と高音を同時に出すことで、馬の鳴き声は遠くまで届き、なおかつ個体を識別しやすくなる。低音は障害物を回り込んで遠くまで伝わる性質があり、高音は音の特徴がはっきりしているため「誰が鳴いているか」を判別しやすい。

野生の馬の祖先は草原に住んでいた。仲間とはぐれたとき、自分の居場所を知らせる必要がある。低音で「ここにいるよ!」と遠くまで伝え、高音で「私は◯◯だよ!」と自分を特定させる。この2つの情報を同時に送れるのが、馬の鳴き声の最大の特徴なのだ。

他の動物にも同じ仕組みがある?

実は、2つの異なる音源で同時に声を出す動物は他にもいる。モンゴルの伝統音楽「ホーミー」では、人間も喉を特殊な使い方をして2つの音を同時に出せる。

動物では、アザラシやクジラの一部も複数の音を重ねて鳴くことが知られている。ただし馬のように、声帯と別の袋状器官を完全に独立させて使う例は珍しい。

研究チームは「馬の喉頭小嚢は、他の哺乳類にはほとんど見られない特殊な構造だ」と指摘している。進化の過程で、馬が群れで生活するために獲得した独自の適応だと考えられる。

どうやって調べたの?

馬の喉頭の構造
Photo by Europeana on Unsplash

喉頭を取り出して実験

研究チームは、食肉処理場で亡くなった馬5頭の喉頭を採取し、特殊な装置で空気を送り込む実験を行った。喉頭を固定し、人工的に呼吸するときと同じように空気を流すと、生きている馬と同じ「ヒヒーン」という音が再現できた。

次に、声帯部分と喉頭小嚢部分を切り離して、それぞれ単独で音を出させた。すると、声帯からは低音だけが、喉頭小嚢からは高音だけが発生した。これにより、2つの音源が独立して機能していることが確認できた。

高速カメラで振動を撮影

研究チームは毎秒4000コマ撮影できる高速カメラを使って、声帯と喉頭小嚢の動きを記録した。声帯はゆっくりと規則的に振動し、喉頭小嚢の壁は非常に速く細かく震えていた。

この振動の違いが、低音と高音という全く異なる音色を生み出していた。ちょうど太鼓とタンバリンが違う音を出すように、振動する部分の大きさや硬さで音の高さが決まるのだ。

音響分析で周波数を測定

生成された音を音響分析ソフトウェアで解析すると、低音成分は80〜250ヘルツ、高音成分は1000〜3000ヘルツという、全く異なる周波数帯域に分かれていた。

人間の会話の基本周波数が100〜300ヘルツ程度なので、馬の低音は人間の声に近い。一方、高音部分は鳥のさえずりに近い高さだ。この2つが混ざることで、あの独特な「ヒヒーン」という音になる。

この発見が役に立つこと

草原で群れをなす野生の馬
Photo by Paige Vondoersten on Unsplash

馬の健康管理に応用できる

馬の鳴き声の仕組みが分かったことで、声の異常から病気を早期発見できる可能性が出てきた。喉頭小嚢に炎症が起きると、高音成分が弱くなったり消えたりする。

競走馬や乗馬用の馬は、呼吸器系の病気にかかることが多い。声の変化をモニタリングすることで、獣医が気づく前に異常を検知できるかもしれない。

音声合成技術への応用

映画やゲームで馬の鳴き声を再現するとき、これまでは録音した音を使うか、人間が声真似をするしかなかった。今回の研究で発声メカニズムが明らかになったことで、物理モデルに基づいた音声合成が可能になる。

コンピュータ上で声帯と喉頭小嚢の動きをシミュレートすれば、リアルな馬の声を自由に作り出せる。興奮した馬、疲れた馬、若い馬と老齢の馬など、状況に応じた鳴き声を生成できるだろう。

進化生物学の新たな視点

馬の独特な発声メカニズムは、社会性動物の進化を理解する手がかりになる。群れで生活する動物は、仲間とのコミュニケーションが生存に直結する。

犬は吠え方を変えて感情を伝え、狼は遠吠えで位置を知らせ、馬は2種類の音を同時に出す。それぞれの動物が、自分たちの生活様式に最適な発声方法を進化させてきた。

研究チームは今後、野生のモウコノウマの鳴き声も調査する予定だ。家畜化される前の馬がどんな声を出していたのかが分かれば、家畜化によって発声がどう変化したかも明らかになるだろう。

シルミー

馬ってそんなに複雑な声の出し方してたんだ! すごいなあ

はかせ

動物の体って、私たちが思っている以上に精密にできているんですよね

この研究は米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。身近な動物でも、まだまだ解明されていない謎がたくさんある。

参考文献:
Scientists finally solve the mystery of the horse whinny
出典: ScienceDaily

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生き物・自然
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