オウムのおしゃべりは、ただ人の言葉を真似しているだけなのか、それとも本物の「名前」として使っているのか。
米北コロラド大学のローリン・ベネディクト博士らのチームが、飼いオウム1,202羽についての飼い主の報告から、この問いに迫った。
研究は2026年4月に学術誌『PLOS ONE』に発表された。研究チーム自身は、オウムが名前を「名前」として理解していると断言はできない、と慎重な姿勢をとっている。
キク野生のオウムで、どの一羽が誰に向かって鳴いてるのか確かめられるのかな?
そもそもオウムのおしゃべりはなぜここまで複雑なのか


野生のオウムは、驚くほど多彩な声を持つことで知られている。
ヨウム、コンゴウインコ、ボウシインコ――どの仲間も、状況や相手によって鳴き方を細かく変えているらしいことが、これまでの観察から少しずつ指摘されてきた。
単に大きな声で騒ぐのではなく、場面ごとに「使い分け」があるという点が、研究者たちの興味を引いてきた。
論文によると、オウムやイルカには個体ごとの特徴的な声があり、仲間がその声を真似て特定の相手を指したり呼びかけたりすることが知られている。
ただ、野生の群れの中で、どの一羽がどの相手に向かって鳴いているのかを確かめるのは難しかった。
野生のオウムは高い木の上で群れをつくって暮らすため、鳴いている個体と相手の対応を見分けにくい。


家に住むオウムに目を付けた発想の転換
ベネディクト博士のチームが選んだのは、真逆のアプローチだった。わざわざ熱帯雨林に入るのではなく、人間と暮らすオウムに狙いを定めたのだ。
飼いオウムは人の言葉を真似るので、オウムが口にする名前は人の耳でも聞き取れる。誰が誰に向かって言っているのかも、そばで暮らす飼い主なら状況ごと説明できる。
この調査の柱になったのが、「What Does Polly Say?」と名づけられたオンラインアンケートだ。
チームは飼い主に、自分のオウムがどんな言葉をどんな場面で発するかを文章で回答してもらった。
2020年10月から2024年8月までに集まったのは1,202羽(89種)分の報告で、そのうち単語やフレーズの記録が得られたのは884羽だった。
対象となったオウムの種類も幅広く、ヨウム、コンゴウインコ、ボウシインコなど89種にわたった。
論文は、この調査方法によって、厳密に管理した実験よりもずっと多くの種のデータを集められたとしている。
1,202羽の調査で見えた「名前」の使い方


発話の記録が得られた884羽のうち、人間の名前を使っていたのは413羽、およそ47%にのぼった。これらのオウムは63種にわたり、名前を含む800以上のフレーズが報告されている。
さらに、状況の情報がそろっていた鳥のうち88羽(30種)については、オウムが特定の人間や動物を呼ぶ「ラベル」として名前を使っていることをうかがわせる報告が集まった。
たとえば、飼い主の姿が見えなくなると飼い主の名前を呼ぶ、同居の犬が部屋に入ってくるとその犬の名前を口にする、といった報告だ。
論文は、一部のオウムが名前を一人(一匹)の相手だけに使い、「犬」や「鳥」のようなグループの呼び名としては使っていなかったことを、名前をラベルとして使っている強い証拠としている。
名前が使われる場面には、相手が現れたときのあいさつ、相手が去っていくとき、注意を引きたいときなどのパターンがあった。
論文によると、名前はオウムの語彙の中でも大きな割合を占める。以前の研究では、ヨウムの語彙の4分の1以上が名前で、これは幼い子どもと同じくらいの割合だった。
想定外だった「自分の名前を呼ぶ」パターン
研究チームにとって想定外だったのは、オウムが自分自身の名前を連呼するパターンが数多く見つかったことだ。
「ポン太!」と自分で叫んで飼い主の注意を引く、おやつをねだるために自分の名前を繰り返す、といった使い方である。
これは人の名前の使い方とは少し違う。ただ論文は、自分のことを自分の名前で呼ぶのは、ごく幼い子どもによく見られる行動でもあると指摘している。
また、野生のオウムやイルカが、自分を表す特徴的な声を主に自分で発することにも似ているという。なぜオウムがこういう使い方をするのかは、まだわかっていない。
人間の名前と同じなのか、違う何かなのか


論文は、今回見つかった名前の使い方はすべて、名前が何かを理解しないまま真似しているだけの可能性もあると書いている。
また、アンケートに答えた飼い主が、自分にとって意味のあるおしゃべりほど報告しやすいことや、飼い主の解釈に偏りが入りうることも認めている。
そのため研究チームは、正しく個体を指して名前を使った報告があっても、オウムが名前を理解している決定的な証拠にはならず、この能力を多くの種で調べるための第一歩だと位置づけている。
それでも、世界中の飼い主の観察を集めて、多くの種を一度に調べた意味は小さくない。
動物が「名前」を使う例は、実はごく限られている。
よく知られているのはイルカで、それぞれが自分だけの特徴的な口笛(シグネチャーホイッスル)を持ち、仲間がその音を真似て特定の個体に呼びかけることが分かっている。
しかし、こうした「名前らしきもの」が確認された動物は、今のところ数えるほどしかいない。多くは高度な社会性を持つ海の哺乳類だ。
もしオウムが正式にこのリストに加わるなら、それは「名前を呼び合う」という高度なコミュニケーションが、海の哺乳類だけの特権ではなく、空を飛ぶ鳥にも独立して芽生えていた可能性を示すことになる。
進化の別々の枝で、同じような能力が花開いていたとすれば、それはそれで胸が高鳴る話だ。



飼いオウムが人や動物の名前を呼び名みたいに使う例は見つかったけど、真似してるだけの可能性もまだ残ってるんだね。
参考文献:
Benedict L, Groiss V, Hoeschele M, Reinisch E, Dahlin CR. Name use by companion parrots. PLOS ONE, 2026; 21(4):e0346830. DOI: 10.1371/journal.pone.0346830
PLOS ONE 原論文
論文本文(オープンアクセス): PMC13089708
Parrots are not just mimicking words—they use proper names like humans(Phys.org)









