はかせ、うちのパパ、寝てるときすごいいびきかくんだけど、たまに息が止まってるの。ママが心配してた
それ、もしかしたら睡眠時無呼吸症候群かもしれませんね。実は最近、その症状を薬で治せるかもしれないという研究結果が出たんです
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に何度も呼吸が止まってしまう病気だ。日本では推定200万人以上が悩んでいるとされる。今まではマウスピースをはめたり、CPAP(シーパップ)という機械で空気を送り込んだりする治療法しかなかった。でもヨーロッパの臨床試験で、スルチアムという薬が呼吸停止を大幅に減らすことが確認された。
睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?


寝てる間に喉が塞がる
睡眠時無呼吸症候群の人は、寝ている間に喉の筋肉が緩みすぎて、空気の通り道が塞がってしまう。1時間に何度も呼吸が止まり、脳が酸素不足になる。すると脳が「危ない!」と判断して、本人が気づかないうちに何度も目を覚まさせるんだ。
だから朝起きても全然スッキリしない。昼間に強烈な眠気に襲われたり、集中力が続かなくなったりする。もっと怖いのは、放っておくと心臓病や脳卒中のリスクが2倍以上になることだ。
今までの治療法は続けるのが大変
現在の主な治療法はCPAP療法だ。鼻に装着したマスクから空気を送り込んで、喉が塞がらないようにする装置だが、毎晩機械を付けて寝るのはかなり面倒だ。音がうるさい、マスクが邪魔で眠れない、という理由で半数近くの人が使うのをやめてしまうという報告もある。
マウスピースも選択肢の一つだが、顎が痛くなったり、歯並びに影響が出たりする。根本的に「続けやすい治療法」がなかったのが、この病気の大きな課題だった。
スルチアムが呼吸を安定させる仕組み


炭酸脱水酵素を邪魔する
スルチアムはもともとてんかん治療に使われてきた薬だ。脳内の炭酸脱水酵素という酵素の働きを抑える作用がある。この酵素は二酸化炭素の代謝に関わっていて、抑えると体が「二酸化炭素が溜まってる!」と勘違いする。
すると脳の呼吸中枢が刺激されて、喉の筋肉がしっかり働くようになるんだ。つまりスルチアムを飲むと、寝ている間も喉の筋肉が緩みすぎず、気道が塞がりにくくなる。まるで眠っている体に「ちゃんと呼吸して!」と指令を出し続けるスイッチみたいなものだ。
実際の臨床試験で何が分かったのか
今回の臨床試験は、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群を持つ患者298人を対象に行われた。患者を3つのグループに分けて、それぞれ1日100mg、1日200mg、偽薬(プラセボ)を12週間飲み続けてもらった。
結果は驚くべきものだった。偽薬グループでは1時間あたり平均31.8回の呼吸停止があったのに対し、100mg投与グループでは21.3回、200mg投与グループでは17.8回まで減少した。つまり高用量グループでは呼吸停止が約47%も減った計算になる。
酸素レベルも改善
呼吸停止の回数だけでなく、血液中の酸素飽和度も改善した。睡眠時無呼吸症候群の人は、呼吸が止まるたびに血中酸素濃度が下がる。この「酸素が足りない時間」が減ったことで、心臓や脳への負担も軽くなると考えられている。
さらに患者の自覚症状も良くなった。昼間の眠気が減り、朝の目覚めがスッキリしたと答える人が多かった。ただし副作用として、一部の人に手足のしびれや味覚の変化が報告されている。これは炭酸脱水酵素阻害薬に共通する症状だ。
実用化への道のりと今後の課題


もっと大規模な試験が必要
今回の臨床試験は12週間という比較的短い期間だった。睡眠時無呼吸症候群は長期的に付き合う病気だから、1年、2年と飲み続けたときの効果や副作用を確認する必要がある。現在、さらに大規模な追跡調査が計画されているという。
また、すべての患者に同じように効くわけではない。スルチアムが効きやすいタイプの睡眠時無呼吸症候群と、効きにくいタイプがあるかもしれない。どんな人に向いているのか、見極める研究も進んでいる。
CPAPとの併用も視野に
スルチアムが承認されても、CPAPが完全に不要になるわけではない。重度の患者にはCPAPの方が確実に効果が高い場合もある。逆に軽度から中等度の人、CPAPを使いたくない人には、スルチアムが第一選択肢になる可能性がある。
また「旅行や出張のときだけスルチアムを飲む」といった使い方もできるかもしれない。CPAPは持ち運びが面倒だし、ホテルで使うのは恥ずかしいと感じる人も多い。薬なら荷物にならず、周りにも気づかれない。
他の呼吸障害への応用も
スルチアムの研究は、睡眠時無呼吸症候群以外の呼吸障害にも応用できる可能性がある。たとえば高山病の予防や、COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の夜間呼吸サポートなどだ。
炭酸脱水酵素を標的にした薬は他にもあるが、スルチアムは副作用のバランスが良いとされている。今後、呼吸をコントロールする薬の選択肢が広がれば、多くの人の生活の質が改善するだろう。
じゃあパパも、いつか薬だけで治せるようになるかもしれないんだね
そうですね。まだ時間はかかりますが、睡眠時無呼吸症候群に悩む人にとって、大きな希望になると思います
スルチアムの実用化には数年かかる見込みだが、CPAPやマウスピースに代わる選択肢が増えることは、患者にとって朗報だ。寝る前に1錠飲むだけで、夜も昼も快適に過ごせる日が来るかもしれない。
参考文献:
Scientists may have found a pill for sleep apnea
出典: ScienceDaily
アイキャッチ画像: Photo by Manish Dungdung on Unsplash










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