シルミーはかせ、北欧の人たちって長生きなの?
実は食事に秘密があるんです。デンマークのオーフス大学が20万人を調べたところ、北欧式の食事を続けた人は、そうでない人に比べて死亡リスクが23%も低かったんですよ
北欧といえば、サーモンやニシン、ライ麦パン、ベリー類が思い浮かぶ。これらの食材を中心とした食事が、長生きの鍵を握っているかもしれない。
オーフス大学の研究チームは、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーに住む約20万人を対象に、33年間にわたる追跡調査を実施した。参加者の食事内容を詳しく分析し、2023年に改訂された最新の北欧栄養推奨ガイドラインにどれだけ従っているかをスコア化した。
北欧式食事って何を食べるの?


穀物は全粒粉、魚は週3回以上
北欧栄養推奨ガイドラインは、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの5カ国が共同で作成した食事指針だ。2023年版では、環境への配慮も加わり、より持続可能な食材選びが重視されるようになった。
推奨される食材の筆頭は全粒穀物だ。ライ麦パンやオーツ麦、大麦など、精製されていない穀物を1日150グラム以上食べることが目標とされる。これは普通の食パン約6枚分に相当する量だ。
魚も重要な位置を占める。サーモン、ニシン、サバといった脂の多い魚を週に3回以上、1回あたり100グラム程度食べることが推奨される。これらの魚にはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、心臓や血管の健康を守る働きがある。
野菜は1日500グラム、ベリー類も欠かせない
野菜と果物の摂取量も具体的に示されている。野菜は1日500グラム以上、果物は300グラム以上が目標だ。500グラムというと、トマト約3個分、またはキャベツ4分の1玉に相当する。
北欧特有の食材として、ブルーベリー、リンゴンベリー、クラウドベリーなどのベリー類がある。これらは抗酸化物質が豊富で、細胞の老化を防ぐ効果が期待されている。スウェーデンでは、森でベリー摘みをする権利が法律で保障されているほど、生活に根付いた食材だ。
赤身肉は週350グラムまで
一方で、制限される食材もある。牛肉や豚肉といった赤身肉は週に350グラム以下に抑えることが推奨される。これは1日あたり50グラム、ハンバーグ約半分の量だ。
加工肉のソーセージやベーコンは、さらに厳しく週50グラム以下とされる。砂糖入りの飲料やお菓子も、できる限り避けるべき食品リストに入っている。
23%のリスク減はどう証明されたのか


33年間の追跡で見えた明確な差
研究チームは、参加者の食事内容を16項目の指標でスコア化した。全粒穀物の摂取量、魚の頻度、野菜・果物の量、赤身肉や加工肉の制限度合いなど、それぞれに点数を付け、合計点で北欧式食事への適合度を測った。
スコアが最も高いグループ(上位20%)と最も低いグループ(下位20%)を比較すると、死亡リスクに顕著な差が現れた。高スコアのグループは、33年間の追跡期間中の死亡率が23%低かったのだ。
この差は、年齢、性別、喫煙習慣、運動量、教育レベルといった他の要因を統計的に調整した後も変わらなかった。つまり、食事そのものが寿命に影響を与えている可能性が高い。
心臓病と糖尿病のリスクも低下
死亡リスクだけでなく、特定の病気の発症率も調べられた。北欧式食事を実践しているグループは、心臓病による死亡リスクが29%低く、2型糖尿病の発症リスクも31%低かった。
オーフス大学の主任研究員クリスティーナ・ダル博士は、「全粒穀物と魚の組み合わせが、血糖値と血圧の両方を安定させる効果を持つ可能性がある」と説明する。実際、北欧式食事を3ヶ月続けた別の小規模研究では、空腹時血糖値が平均8%低下したというデータもある。
地中海式食事との比較
長寿食として有名なのは、地中海式食事だ。オリーブオイル、トマト、チーズ、赤ワインといった南欧の食材を中心とする食事法で、これまで多くの研究で健康効果が確認されてきた。
北欧式と地中海式には共通点がある。どちらも魚を多く食べ、野菜と果物を重視し、赤身肉を控えめにする点だ。違いは脂質の種類にある。地中海式がオリーブオイル由来の一価不飽和脂肪酸を主とするのに対し、北欧式は魚やナッツから多価不飽和脂肪酸を摂取する。
スペインのバルセロナ大学が両者を比較した研究では、心臓病予防効果に統計的な差は見られなかった。つまり、どちらの食事法を選んでも、健康効果は期待できるということだ。
環境にも優しい食事スタイル


温室効果ガス排出量が35%少ない
2023年版の北欧栄養推奨ガイドラインには、新しい視点が加わった。環境負荷の低減だ。食料生産は世界の温室効果ガス排出量の約4分の1を占めており、特に牛肉や羊肉の生産は大量のメタンガスを排出する。
スウェーデン農業大学の試算によれば、北欧式食事を実践すると、標準的な欧米型の食事に比べて、1人あたりの温室効果ガス排出量が35%削減できるという。赤身肉の消費を週350グラム以下に抑えることが、最も大きな削減効果をもたらす。
地元食材の活用で輸送エネルギーも削減
北欧式食事のもう一つの特徴は、地元で採れる食材を優先することだ。デンマークではライ麦、ノルウェーでは大西洋サーモン、フィンランドでは湖の魚といった具合に、各地域の伝統的な食材が推奨される。
輸入食材に頼らないことで、輸送に伴うCO2排出も削減できる。ベリー類を森で摘む文化も、環境負荷ゼロの食材調達法として見直されている。
日本での実践可能性
日本でも北欧式食事を取り入れることは可能だ。全粒穀物は玄米や雑穀米で代用でき、魚は日本の伝統的な食材そのものだ。サバやイワシ、サンマといった青魚は、サーモンと同様にオメガ3脂肪酸が豊富に含まれる。
野菜500グラムという目標も、和食の小鉢文化なら達成しやすい。ほうれん草のお浸し、きんぴらごぼう、きゅうりの酢の物といった副菜を3品揃えれば、軽く300グラムを超える。
課題はベリー類だ。ブルーベリーは国産品もあるが価格が高い。代わりに抗酸化物質が豊富な食材として、緑茶や海藻、納豆といった日本独自の発酵食品を活用する手もある。



魚と野菜をいっぱい食べればいいんだね。これならできそう!
オーフス大学のチームは現在、北欧式食事がなぜ寿命を延ばすのか、分子レベルでのメカニズム解明に取り組んでいる。全粒穀物に含まれる食物繊維が腸内細菌のバランスを整え、それが全身の炎症を抑える可能性が注目されている。今後5年以内に、より詳しいガイドラインが発表される予定だ。
参考文献:
This planet friendly diet could cut your risk of early death by 23%
出典: ScienceDaily










コメント