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学校の始業時間を遅くしたら成績UP! スイスの高校生、45分長く眠れるように

2026 3/20
人体・医学
2026年3月20日
🕑この記事は約5分で読めます
シルミー

はかせ、私ね、朝起きるのすごく苦手なんだけど、これって怠け者ってこと?

はかせ

実はそうじゃないんですよ。特に10代の体は、夜遅くまで起きていて朝遅く起きるようにできてるんです。スイスの高校で面白い実験があったんですが、始業時間を遅くしたら生徒の成績が上がったんですよ

スイスの研究者たちが、チューリッヒの高校で始業時間を自由選択制にする実験を行った。生徒たちは朝8時からと8時45分からのどちらかを選べるようにしたところ、なんと約9割の生徒が遅い時間を選んだ。そして彼らは平均で45分も長く眠れるようになったのだ。

目次

10代の体内時計は大人と違う

ベッドで眠る10代の若者
Photo by Joana Abreu on Unsplash

思春期に起きる「睡眠相後退」

10代の若者が夜型になるのは、実は生物学的に当たり前の現象だ。思春期になると体内時計が変化し、眠くなる時間が自然と遅くなる。これを「睡眠相後退」と呼ぶ。

大人なら夜10時頃に眠くなるところを、10代の体は夜11時や深夜0時にならないと眠気を感じない。朝も同じように遅くまで寝ていたい体になっている。つまり怠けているわけではなく、体がそういう設計になっているのだ。

早朝の授業は「時差ボケ状態」を作る

それなのに多くの学校は朝7時台や8時には授業が始まる。これは10代の体にとって、無理やり起こされて授業を受けるようなものだ。

たとえるなら、日本に住んでいるのに毎日アメリカ時間で生活を強制されるようなもの。体内時計と実際の生活時間がズレた状態、つまり慢性的な時差ボケ状態になってしまう。脳が本調子じゃない時間帯に勉強しても、当然パフォーマンスは上がらない。

睡眠不足が学習能力を直撃する

睡眠不足は記憶力、集中力、判断力のすべてを低下させる。脳は寝ている間に、その日学んだことを整理して長期記憶に変換する作業をしている。

睡眠時間が足りないと、この作業が中途半端になる。せっかく授業を受けても、脳に定着しにくいのだ。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)も、13歳から18歳の若者には1日8時間から10時間の睡眠が必要だと推奨している。

スイスの実験で何が起きたのか

高校の教室風景
Photo by Ivan Aleksic on Unsplash

選択制にしたら9割が遅い時間を選んだ

チューリッヒ工科大学とバーゼル大学の研究チームが、スイスのある高校で実験を行った。対象は15歳から19歳までの生徒たち。

始業時間を8時と8時45分の2つから選べるようにしたところ、88%の生徒が遅い方を選んだ。これは多くの若者が「もっと寝たい」という体の声を無視して早起きを強いられていた証拠だ。

睡眠時間が45分伸びた

遅い始業時間を選んだ生徒たちの睡眠パターンを調べると、驚くべき結果が出た。平日の睡眠時間が平均で45分も増加していたのだ。

これは単に「朝寝坊できるようになった」だけではない。夜に寝る時間は変わらず、朝に起きる時間が遅くなることで、体内時計に合った生活ができるようになったということだ。週末に「寝だめ」する必要も減った。

成績とやる気が向上した

睡眠時間が増えた結果、生徒たちの学業成績が向上した。具体的な数値は研究報告によると、テストの点数や授業への集中度が改善されたという。

さらに重要なのは、生徒たちの学習意欲も高まったこと。十分な睡眠を取ると、ドーパミンなどの神経伝達物質が正常に働き、「やる気」が自然と湧いてくる。朝から頭がスッキリしていれば、勉強も苦痛じゃなくなるのだ。

世界で広がる「始業時間を遅らせる」動き

朝の目覚まし時計
Photo by Acharaporn Kamornboonyarush on Pexels

アメリカでも実験が進んでいる

スイスだけでなく、アメリカでも同様の取り組みが広がっている。シアトルの公立高校では、2016年に始業時間を7時50分から8時45分に変更した。

結果は劇的だった。生徒の平均睡眠時間が34分増加し、成績の平均点が4.5%上昇。遅刻や欠席も減った。さらに、日中の眠気や抑うつ症状を訴える生徒も減少したという。

日本ではまだ早朝授業が主流

一方、日本の多くの中学・高校では、朝8時前後に始業するのが一般的だ。部活動の朝練習がある学校では、7時前に登校することも珍しくない。

文部科学省は明確な始業時間の基準を定めていないが、伝統的に早朝登校が「当たり前」とされてきた。しかし科学的なデータが積み重なるにつれ、この「当たり前」を見直す動きも出始めている。

社会全体の構造も変える必要がある

学校の始業時間を遅らせるには、課題もある。保護者の出勤時間との兼ね合いや、部活動の時間確保、塾や習い事のスケジュールなど、社会全体の時間の使い方を調整する必要があるからだ。

それでも研究者たちは、若者の健康と学習効果を最優先すべきだと訴える。始業時間を1時間遅らせるだけで、睡眠不足による事故や病気、学力低下を防げるなら、社会システムを変える価値は十分にあるというわけだ。

シルミー

じゃあ私が朝起きられないのって、体のせいだったんだ!

はかせ

その通りです。もちろん夜更かししすぎはダメですけど、10代の体が「もっと寝かせて」と言っているのは事実。将来、日本の学校も始業時間が変わるかもしれませんね

今回のスイスの研究は、睡眠科学と教育制度をつなぐ重要な一歩だ。若者の生物学的なリズムに合わせた学校運営が、成績向上だけでなく心身の健康にもつながる。日本でも同様の実験が行われる日が来るかもしれない。

参考文献:
Teens sleep longer and perform better when school starts later
出典: ScienceDaily

アイキャッチ画像: Photo by Mathilde LMD on Unsplash

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人体・医学
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