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雷はなぜ光ってから鳴るのか 光は音のおよそ100万倍速く届く

2026 11/01
生き物・自然
2026年10月23日2026年11月1日
夜空を走る稲妻
🕑この記事は約10分で読めます

文・パクト

シルミー

はかせ、雷ってピカッと光ってから、少したってゴロゴロ鳴るよね。どうして音だけ遅れてくるの?

はかせ

光も音も、同じ雷から生まれているんだ。でも光のほうがずっと速く進むから、先に目に届くんだよ

夕立の空が、ピカッと光ることがあります。そのあと少したってから、ゴロゴロという音が聞こえてきます。光と音は、なぜずれて届くのでしょうか。

先に答えを言います。雷の光と音は同じ放電から生まれますが、光は音のおよそ100万倍も速いので、先に目に届くからです。

ここからは、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の解説をもとに見ていきます。日本の気象庁の解説も使います。

目次

雷は、雲にたまった電気の大きな火花

まず、雷とは何かから見ていきます。NOAAの国立暴風雨研究所は、雷を「大気の中の巨大な電気の火花」と説明しています。火花が飛ぶのは、雲と雲のあいだや、雲と地面のあいだなどです。

気象庁の説明では、雷は空気の中でプラスとマイナスの電気が大量に分かれ、たまった電気が一気に流れる現象です。気象庁は、これを放電と書いています。放電のときに出る音が雷鳴で、光が電光です。

雷雲ができはじめたころ、空気はプラスとマイナスの電気のあいだで、電気を通さない壁のようにはたらいています。ところが、反対の電気がたまりすぎると、この壁が破れます。そして電気が一気に流れます。これが雷です。

雷が光ると、電気のたまった所がいったんならされます。でも、また電気がたまると次の雷が起きます。

ただし、壁が破れる仕組みそのものは、まだよく分かっていないと研究所は書いています。

雷が起きるのは、雷雨のときだけではありません。火山の噴火や激しい山火事、大雪、大きなハリケーンでも見られます。

雲に電気がたまる仕組みは、まだ議論が続いている

雷雲の中で、プラスの氷のつぶとマイナスのあられが上下に分かれている様子を表した図
多くの雷雲では、上の方にプラス、中ほどにマイナスの電気がたまると考えられています。くわしい仕組みには、まだ議論があります。
空の高くまで育った積乱雲
Photo: Iván Levyv / Unsplash

では、雲の中で電気はどうやって分かれるのでしょうか。

気象庁によると、湿った空気が激しく上がって上空の冷たい層に届くと、あられや小さな氷のつぶがたくさんできます。こうしてできるのが雷雲です。

雷は、空の高くまで育った積乱雲で起きます。雷雲の背の高さは、夏は7km以上、冬は4km以上になります。

雷ができるのに必要な条件は、おおむね分かっています。でも、雲が電気をためる細かい仕組みには、まだ分かっていない所があります。NOAAの研究所は、ここに今も議論があり、まだ分かっていない所があると書いています。ここから先は、科学者たちの考えとして読んでください。

あられと氷のつぶがぶつかる

カギをにぎると考えられているのは、直径0.25mmから数mmほどのあられです。あられは、とても冷えた小さな水のつぶを集めて、大きくなります。

あられが小さな氷のつぶにぶつかって、はね返るとします。すると、あられと氷のつぶは、反対の電気をおびると考えられています。

小さな氷のつぶは、上向きの風に乗って、あられより速く上がっていきます。そのため電気が上と下に分かれ、氷のつぶの電気があられの電気より上にたまると考えられています。

上にプラス、中ほどにマイナス

多くの雷雲では、2つの大きな電気の層ができると考えられています。中ほどにはマイナスの電気をおびたあられ、上の方にはプラスの電気をおびた氷のつぶが集まります。

実験室の研究では、あられは0℃より少し冷たい所ではプラスの電気をおびる可能性が示されています。もっと冷たい上の方では、マイナスをおびるようです。

また、主なマイナスの層の下に、小さなプラスの層があることも多いと考えられています。低くて暖かい所のあられが、プラスをおびるためです。

つぶからつぶへ電気が移る細かい物理の仕組みも、完全には分かっていないそうです。どちらの電気になるかは、温度とつぶの育ち方で変わるとされています。

地面に落ちる雷は、地面からも迎えに行く

雲と地面のあいだの放電を、気象庁は対地放電(落雷)と呼んでいます。雲の中や雲と雲のあいだの放電は、雲放電です。

じつは、空で光る雷の多くは地面に落ちません。アメリカでは、雲の中などで光る雷が、地面に落ちる雷のおよそ5〜10倍あるそうです。

NOAAの研究所によると、雷雨の雷は、ほとんど(もしかするとすべて)が雲の中で始まります。

地面に落ちる雷では、電気の通り道が地面に向かって下へ伸びていきます。通り道が地面からおよそ100ヤード(約90m)まで近づいたとします。すると、木や建物から迎えの火花が上へ伸びはじめます。

その火花の1つが通り道とつながると、巨大な電流が一気に流れます。これが落雷です。

木や高層ビルのような高いものは、迎えの火花を出しやすいので、雷が落ちやすくなります。ただし、いつも高いものに落ちるとは限りません。近くに木が並んでいても、開けた野原の地面に落ちることがあります。

通り道の空気は、太陽の表面の5倍の熱さになることも

雷はなぜ、あんなに明るく光るのでしょうか。NOAAの研究所は、雷を、目に見える光などを出す静電気の放電だと説明しています。電圧は1億〜10億ボルトにもなります。

アメリカの国立気象局によると、雷の通り道の空気は、華氏5万度(約2万8000℃)になることがあります。これは太陽の表面の5倍の熱さです。

しかも、空気がこの熱さになるまでは、ほんの数百万分の1秒です。熱せられる空気の温度には幅があり、華氏1万8000度から6万度(約1万℃から約3万3000℃)とされています。

雷の光は、いろいろな色に見えることがあります。目に届くまでに、何の中を通ってくるかで変わるのです。

ゴロゴロは、熱でふくらんだ空気が生む音

次は音です。国立気象局の説明では、雷鳴は雷が空気の中を通るときに生まれます。

雷の放電は、空気を急に熱くします。熱くなった空気は、ぐっとふくらみます。そして光った直後に、空気は急に冷えて縮みます。この急なふくらみと縮みが音の波をつくり、雷鳴として耳に届きます。

NOAAの研究所は、もう少しくわしく説明しています。熱くなった空気には、ふくらむひまがありません。そのため、とても高い圧力になります。

この空気がまわりへ押し広がり、乱れが四方へ伝わります。はじめの10ヤード(約9m)ほどは、ふつうの音よりずっと強い圧力の波です。その先で、ふつうの音の波、つまり雷鳴に変わります。

雷が光らないで、雷鳴だけが鳴ることはありません。反対に、雷が遠すぎると、光は見えても雷鳴が聞こえないことがあります。

ゴロゴロと長く続くわけ

落雷は、地面のたった1か所に落ちることが多いです。それでも空気の中では、何マイルもの長い道のりを通っています。

雷鳴を聞くと、まず通り道のいちばん近い部分の音が届きます。聞き続けると、もっと遠い部分の音が次々に届きます。通り道のどの点からも音が出て、それが重なって聞こえるのです。だから雷鳴は、長く続くように聞こえます。

音の聞こえ方で、雷までの近さもおおよそ分かります。ふつう、「バリッ」と鋭い音なら、通り道が近くを通っています。ゴロゴロと低くとどろくなら、雷は少なくとも数マイル先です。

NOAAの研究所によると、高い音ほど空気に吸いこまれやすいそうです。そのため、遠くの雷鳴ほど高い音が消えていきます。光ってから数十秒後には、いちばん遠い部分の音が低いゴロゴロになっています。

光ってから鳴るまでの秒数で、雷までの距離が分かる

ここで、最初の疑問にもどります。光と音は、同じ放電から生まれます。それなのに音が遅れるのは、進む速さがまったくちがうからです。

NOAAの研究所によると、光は空気の中を、音のおよそ100万倍の速さで進みます。光は、ほぼすぐに目に届きます。一方で音は、1秒におよそ3分の1kmしか進みません。

この差を使うと、雷までの距離が分かります。光ってから雷鳴が聞こえるまでの秒数を数えて、3で割ります。その答えが、雷までのおよそのkm数です。

たとえば3秒なら約1km、6秒なら約2km、15秒なら約5kmです。

アメリカの国立気象局は、マイルで同じ計算をしています。音は1マイル(約1.6km)進むのに約5秒かかるので、秒数を5で割るとマイルになります。

雷鳴が聞こえる範囲

雷鳴が聞こえる距離は、資料によって書き方がちがいます。国立気象局は、落雷からおよそ10マイル(約16km)までしか聞こえないとしています。国立暴風雨研究所のほうは、最大で25マイル(約40km)先まで聞こえるという説明です。

国立気象局は、雷鳴が聞こえたら、雷が落ちうる範囲にいる合図だと書いています。外にいる人は、すぐ安全な場所へ移るように呼びかけています。秒数を数えるのも、安全な場所に入ってからです。

シルミー

今度ピカッと光ったら、ゴロゴロまでの秒数を数えてみる!

はかせ

秒数を3で割れば、雷までのだいたいのkmが分かるよ。でも数えるのは、安全な場所に入ってからね

雷は、地球でもっとも古くから観察されてきた自然現象の1つです。それほど昔から見上げてきた空の火花なのに、電気がたまる細かい仕組みには、まだ分かっていない所が残っています。夕立の空を見上げるとき、雲の中のあられと氷のつぶを思いうかべると、雷の見え方も少し変わるかもしれません。

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参考文献:
主な資料: NOAA National Severe Storms Laboratory(アメリカ海洋大気庁 国立暴風雨研究所)Severe Weather 101, Lightning Basics
主な資料: NOAA National Weather Service(アメリカ国立気象局), Understanding Lightning: Thunder
基礎知識: 気象庁, 雷とは?
基礎知識: NOAA National Severe Storms Laboratory(アメリカ海洋大気庁 国立暴風雨研究所)Severe Weather 101, Frequently Asked Questions About Lightning

アイキャッチ画像: Photo: Michał Mancewicz / Unsplash

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科学メディア「シルミー」の運営者。子供の頃から宇宙や生き物の図鑑を読みあさり、大人になった今も科学ニュースを追いかける日々。海外の学術メディアから面白い研究を見つけて、日本語でわかりやすく届けることをライフワークにしています。

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