雨上がりの空に、大きな虹がかかることがあります。ホースで水をまいたとき、小さな虹を見たことがある人もいるでしょう。
ふだん見る虹は、いつも外側が赤で、内側が紫です。虹はなぜできて、なぜいつも同じ順番に色が並ぶのでしょうか。
先に答えを言います。日光は雨つぶの中で曲がってはね返り、色ごとに出ていく角度が決まっているので、色の順番も決まるからです。赤い光は42度、紫の光は40度の角度で、雨つぶから出ていきます。
ここからは、イリノイ大学の大気科学科と、イギリスの気象庁(Met Office)の解説をもとに見ていきます。物理の解説サイト「HyperPhysics」も使います。
虹が出るのは、太陽が背中にあって前に雨があるとき
イリノイ大学の解説では、虹は日光が雨つぶに当たってできる、色の帯のアーチです。同じ点を中心にした色の帯が、何本も並んでいます。
虹が出るには、条件があります。空のどこかで雨が降り、べつの方では太陽が照っていることです。
見る人の向きも大事です。太陽を背中にして、雨の降っている方を向いたときに、虹が見えます。
虹をさがす目印は、自分の頭の影です。にわか雨のときに頭の影が見えたら、虹が見える場所にいることになります。もちろん、ほかの条件もそろったときの話です。
虹は、頭の影の所を中心にした円の一部になります。この中心は、太陽とちょうど反対の方向にあります。
滝の水しぶきや、ホースやスプリンクラーの水でも同じです。頭の影を目印にすれば、虹をさがせます。
日光には、たくさんの色がまざっている
では、虹の色はどこから来るのでしょうか。じつは、色はもともと日光の中にあります。
イギリスの気象庁によると、日光にはいろいろな色の光がふくまれています。それらがまざると、白く見えます。太陽の光にいろいろな色がまざっていることは、空が青い理由の記事でも出てきました。
光の色は、波の長さのちがいです。赤い光は波がいちばん長く、紫の光はいちばん短くなっています。
物の中で光が曲がる度合いは、波の長さによって変わります。これを分散と呼びます。ふつうは、波が長い光ほど曲がりにくくなります。
すき通った物の中では、青い光は赤い光よりおそく進みます。プリズムに光を通すと色が分かれるのも、この分散のためです。
雨つぶの水の中でも、同じことが起きます。光が水を通ると、波の長さごとに分かれます。そして、おなじみの色の順番ができるのです。
雨つぶの中で、光は曲がって、はね返って、また曲がる
ここからが、虹のでき方の中心です。イギリスの気象庁は、虹は水のつぶの中で日光が曲がったり、はね返ったりしてできると説明しています。
入るときに曲がる
日光は雨つぶに入ると、進む速さがおそくなり、向きが曲がります。このとき、光はふくまれていた色に分かれます。
曲がり方は、色ごとにちがいます。赤い光はいちばん曲がりにくく、紫の光はいちばん大きく曲がります。
奥ではね返り、出るときにまた曲がる
雨つぶに入った光の一部は、つぶの内側の面に当たって、はね返ります。
はね返った光は、つぶから外へ出るときに、もう一度曲がります。こうして色の並んだ光が、見ている人の方へ向かいます。
ふつうの虹では、つぶの中ではね返るのは1回だけです。曲がる、はね返る、また曲がる。この3つの段階を通った光が、虹をつくっています。
赤は42度、紫は40度で出ていく
では、なぜ色の順番がいつも同じなのでしょうか。カギは、色ごとに光が出ていく角度です。
イリノイ大学の解説によると、紫の光は、入ってきた日光の向きに対して40度の角度で雨つぶから出ます。赤い光は42度です。ほかの色は、その間の角度で出ていきます。
デカルトは、光の決まりを使ってこの道すじを計算しました。すると、出ていく光は、見ている人の頭の影から42度の所に集まりました。この光の集まりが、わたしたちの見ている虹です。
ひとつの雨つぶから届くのは1色だけ
ここで大事なのは、ひとつの雨つぶから目に届く光は1色だけだということです。
頭の影から42度の向きにあるつぶからは、赤い光が目に届きます。40度の向きにあるつぶからは、紫の光が届きます。
42度のほうが、頭の影から遠い所です。だから赤い帯は虹の外側に、紫の帯は内側に並びます。その間に、ほかの色が入ります。
この決まりは、どのつぶでも同じです。だから、ふつうの虹の色の順番は変わりません。ひとつのつぶから1色しか届かないので、虹の色の帯をつくるには、ものすごい数の雨つぶが必要です。
「7色」はニュートンが広めた分け方
イギリスの気象庁は、昔からの虹の色の順番を、赤・だいだい・黄・緑・青・あい・紫としています。
7色という考えを広めたのは、アイザック・ニュートンです。でも実際の虹では、色が切れ目なくつながっています。その数は、人の目で見分けられるよりもずっと多いそうです。
今の分け方では、あい色を青と紫にふくめることも多くなっています。それでも7色の並びは、覚え方として役に立ちます。
つぶの大きさで、色の見え方が変わる
HyperPhysicsによると、色の見え方は雨つぶの大きさでも変わります。直径1ミリ以上の大きなつぶでは、赤と緑と紫が明るく出ます。でも、青はほとんど出ません。
つぶが小さくなると、赤が弱くなります。細かい霧では、紫のほかの色が消えることもあるようです。
0.05ミリより小さい霧のつぶでは、白い虹ができます。これは霧虹と呼ばれます。霧のつぶは雨つぶよりずっと小さいので、光が回りこんで色がにじんでしまうのです。
外側にうっすら見える、色が逆の虹
虹が二重にかかることがあります。2本の虹は、同じ点を中心にした弧になっています。
外側の虹は、内側の虹より淡く見えます。色の順番も逆で、外側が紫、内側が赤です。この外側の虹は、日光が雨つぶの中で2回はね返ったときにできます。
HyperPhysicsによると、外側の虹は内側の虹より約10度外にあり、幅はおよそ2倍です。同じ条件で見たときの明るさは、内側の虹の10分の1だと、シャーフの資料にあります。
2本の虹の間の空は、まわりより暗く見えます。この暗い帯は、アレキサンダーの暗帯と呼ばれます。そこからは、見ている人の方へ日光が届かないためです。反対に、内側の虹のさらに内側では、空が明るくなっています。
実験室では、レーザーと水のつぶを使って、13次までの虹が見られています。
虹が夕方に多いわけと、本当は丸い形
虹は、お昼ごろにはあまり見られません。HyperPhysicsの説明では、お昼には頭の影から42度の円が、まるごと地平線より下になってしまいます。世界のほとんどの場所で、そうなるそうです。
そのため虹は、午後おそくによく見られます。夕立が通りすぎて、西の太陽が、東へ去っていく雨雲のはしを照らすときです。
イギリスの気象庁も、太陽が高いと、地平線の上に小さな弧しか見えないことがあると書いています。
虹は本当は円
ふだん見る虹は、円の一部だけです。でも虹は、本当は丸い円です。
ふつうは、円の下半分を地面がさえぎっています。高いビルや飛行機からなら、円がまるごと見えることがあります。下の方にも、水のつぶと日光があるときの話です。
夜にも虹は出る
虹は、夜に月の光でできることもあります。これは月虹と呼ばれます。
月虹はめったに見られません。光が弱すぎて、目の中で色を感じる細胞がはたらかないので、ふつうは白っぽく見えます。
今度晴れた日にホースで水をまいたら、自分の頭の影をさがしてみる!
太陽を背中にして、水しぶきの方を向いてごらん。頭の影のまわりに、虹が見つかるかもしれないよ
虹の色の帯は、数えきれない雨つぶが、それぞれ1色ずつ届けた光でできています。空にかかる大きな虹も、どのつぶの光が目に届くかは、自分の立つ場所と太陽の向きで決まっているわけです。そう思って見上げると、いつもの虹が少しちがって見えるのではないでしょうか。




参考文献:
主な資料: University of Illinois at Urbana-Champaign, Department of Atmospheric Sciences(イリノイ大学 大気科学科)WW2010, Rainbows: an arc of concentric colored bands
主な資料: Met Office(イギリス気象庁), Rainbows: optical wonders
基礎知識: HyperPhysics(R. Nave), Primary and Secondary Rainbows
基礎知識: HyperPhysics(R. Nave), Dispersion
アイキャッチ画像: Photo: Lauren Lopes / Unsplash









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