はかせ、空ってどうして青いの? 夕方になると赤くなるのもふしぎ!
どっちも同じしくみなんだ。太陽の光が空気にぶつかって、あちこちに散らばるせいだよ
晴れた日に見上げると、空は一面の青です。ところが夕方になると、西の空は赤やオレンジにそまります。同じ空なのに、どうして色が変わるのでしょうか。
先に答えを言います。青い光は空気の分子に強く散らされ、空じゅうから目に届きます。夕方は青が途中でぬけ、赤い光が残るのです。
このしくみは、気象機関のMet Officeや、大学の物理学の解説ページで説明されています。光の色の話から、順番に見ていきましょう。
そもそも色がどうやって見えているのかは、シルミーのYouTubeでも動画で解説しています。
太陽の光は、たくさんの色のまざりもの
太陽の光は、白っぽく見えます。でも本当は、たくさんの色がまざってできています。
その色ごとにちがうのが、波長と呼ばれる波の長さです。赤い光は、波長がいちばん長い色です。反対のはしにあるのが青と紫で、波長はずっと短くなります。
太陽の光が地球の大気に入ると、空気の小さな分子にぶつかります。おもに窒素と酸素の分子です。ここで起きることが、空の色を決めています。
小さな分子は、青い光をよく散らす
空気の分子は、光の波長よりずっと小さなつぶです。酸素の分子のはばは、約0.1ナノメートルしかありません。目に見える光の波長は、約500ナノメートルです。分子の大きさは、光の波長の約5000分の1というわけです。
光は、こうした小さなつぶに当たると、あちこちへ散らばります。空気の分子で光が散らばることを、レイリー散乱といいます。レイリー卿が、この散らばる光の強さを計算しました。
レイリー散乱には、大事な決まりがあります。波長が短い光ほど、ずっと強く散らされるのです。
散らされる光の強さは、波長の4乗に反比例します。少しむずかしいので、例で考えてみます。
波長が半分の光をくらべるとします。もとの明るさが同じなら、散らされたあとの明るさは16倍になります。
だから、青い光は赤や緑の光より、ずっと強く散らされます。上を見上げたとき目に入るのは、空気にふつう1回散らされた光です。その光の大部分が、青い光なのです。
太陽の光の進む向きから大きく曲げられて、地上へ届く光もあります。その光は、おもに青のがわの光です。だから、太陽のない方向の空も青く見えるわけです。
紫の空にならないのはなぜか
ここで、ひとつ疑問がわきます。紫の光は、青よりもさらに波長が短い色でした。それなら、空は紫に見えてもよさそうです。
ウェスト・テキサスA&M大学で物理学を教える、クリストファー・ベアード准教授の解説があります。もしレイリー散乱だけがはたらいていたら、空は紫になるはずだというのです。
ベアード准教授によると、空が青くなるには4つのことがそろう必要があります。レイリー散乱のほかに、太陽の光の色のバランスが関わります。大気を通るうちに光が弱まることと、人の目と脳の色の感じ方も関わります。
太陽の光には、紫が少ない
太陽の表面の温度は、約5800ケルビンです。大気に届く太陽の光は、すべての色が同じだけまざってはいません。赤やオレンジが多く、紫より青のほうが多いのです。
大気を通るあいだにも、ちがいが出ます。紫は青より速く散らされて、まっすぐ進む光からぬけていきます。そのため、大気の底に近いところでは、上のほうよりも紫の割合がさらに減ります。
人の目は、青をよく感じる
人の目には、赤・緑・青を感じる3種類のセンサーがあります。その感じる範囲は、かなり重なっています。大まかに言うと、人の目は紫より青によく反応します。
赤と緑が少しで、青から紫が多い光は、白っぽい青に見えます。これが、わたしたちの知っている空色です。
Met Officeの解説も、同じ理由をあげています。紫は青より強く散らされますが、目は青のほうをよく感じます。そのうえ、太陽の光にはもともと紫が少ないのです。だから空は紫ではなく、青に見えます。
地平線の近くや太陽のまわりは、白っぽい
空の青さは、どこでも同じではありません。真上がいちばんあざやかで、地平線に近いほどうすくなります。
地平線のほうから来る光は、より多くの大気の中を通ってきます。そのあいだに、何度も散らされます。散らされることがふえると白い光が多くまざり、青がうすまるのです。
太陽のすぐまわりの空も、白っぽく見えます。ジョージア州立大学の物理学の解説ページでは、これをミー散乱のためだとしています。
ミー散乱は、色によるちがいがあまりない散らばり方です。空気の中につぶが多いと、太陽のまわりがほとんど白くまぶしく見えます。反対に、太陽からはなれた方向の空ほど、青がこくなります。
夕方は、青い光が途中でぬけていく




では、夕焼けはなぜ赤いのでしょうか。カギは、光が大気の中を通る道のりの長さです。
太陽が真上にあるとき、光が大気を通る道のりはいちばん短くなります。ところが日の出や日の入りのころは、太陽が低い位置にあります。すると光は、ずっと厚い大気の層を通ってくることになります。
長い道のりのあいだに、青い光はほとんど散らされてしまいます。緑の光も、大部分が散らされます。残るのは、おもに赤い光です。
その赤い光がまっすぐ目に入ると、赤い太陽に見えます。少しだけ向きを変えて目に入ると、赤い空に見えます。
ベアード准教授の説明では、光が地面の近くの空気に届くころには、もう青い光は残っていません。緑・青・紫は、上の空気の層ですでに散らされています。残るのは、赤とオレンジだけです。
白い太陽が、黄色から赤へ
太陽そのものの色も、高さで変わります。太陽がかなり低いけれど、まだしずんでいないときを考えます。このとき光の道のりは、真上のときより長く、しずむときよりは短めです。
すると、青い光の多くはぬけますが、緑の光の大部分は残ります。緑と赤が合わさると、黄色になります。だから、白い太陽が低い位置では黄色っぽく見えるのです。
さらに低くなると、太陽が赤く見えることもあります。同じ時刻でも、しずむ太陽のほうを見ると空は赤く、真上は青いままです。
青い空と赤い夕焼けは、べつべつのできごとではありません。同じ散らばり方を、ちがう向きとちがう時刻に見ているだけなのです。
雲が白いのは、つぶが大きいから


青い空とちがって、雲は白から灰色に見えます。雲をつくる水のつぶは、空気の分子よりずっと大きいからです。
つぶの大きさが光の波長より大きいと、ミー散乱がおもになります。このとき、目に見える光は、どの色もほぼ同じように散らされます。色がかたよらないので、白く見えるわけです。
もやや霧が白いのも、同じミー散乱のためです。空の青と雲の白は、光を散らすつぶの大きさのちがいから生まれています。
火星では夕日のまわりが青い、2015年の別の観測
ここからは、地球とは別の星の話です。NASAの火星探査車キュリオシティは、2015年4月15日の夕方に、火星の夕日を撮りました。
NASAジェット推進研究所の発表によると、青みがかった空の中を、太陽が地平線へしずんでいきました。撮影は砂あらしと砂あらしのあいだでしたが、大気の高い所にはちりがうかんでいました。
観測を計画したのは、テキサスA&M大学のマーク・レモン氏です。レモン氏によると、色のもとは、とても細かいちりです。そのちりがちょうどよい大きさなので、青い光が大気を少しだけ通りぬけやすいのです。
青い光は、ちりに散らされても、ほかの色より太陽の方向の近くにとどまります。空のほかの部分は、黄色からオレンジ色です。黄色や赤の光は、空じゅうに散らばるからです。
地球の夕方に色がきわだつのと同じように、火星の夕方は太陽の近くの青が目立ちます。昼間は、ちりのさび色のほうが目立ちます。この夕日の観測は、ちりがどの高さにどう広がっているかを調べる手がかりにもなっています。
空の色って、光がどれだけ散らばるかで決まってたんだね。夕焼けを見たら、青い光が途中でぬけてきたんだって思い出しそう
そうだね。地球とは別の星、火星では夕日のまわりが青く見える。そこも面白いところだよ
毎日見ている空の色の多くは、光の波長と、光を散らすつぶの大きさで説明がつきます。紫の空にならないわけに、太陽の光の色のバランスや人の目まで関わる点は、見落とされがちだと思います。
参考文献:
主な資料: Met Office(イギリス気象庁), Why the sky is blue and sunsets red
主な資料: UNSW Sydney(ニューサウスウェールズ大学)物理学科 Physclips, Colour of sky
基礎知識: R. Nave(ジョージア州立大学) HyperPhysics, Blue Sky and Rayleigh Scattering
基礎知識: Christopher S. Baird(ウェスト・テキサスA&M大学), Why is the sky blue?(2013年)
別の研究: NASAジェット推進研究所 発表文(2015年5月8日), NASA’s Curiosity Rover Views Serene Sundown on Mars
アイキャッチ画像: Photo: engin akyurt / Unsplash










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