MENU
  • テクノロジー
  • 人体・医学
  • 宇宙・天文
  • 歴史・考古学
  • 生き物・自然
  • 検索 🔍

ジャンル

テクノロジー 人体・
医学
宇宙・
天文
歴史・
考古学
生き物・
自然
すべての
記事

特集

身近な「なぜ?」電線の鳥はなぜ感電しない? など› 新しい研究のニュース元の論文で確かめた最新の発見›

動画とSNS

YouTube X Instagram TikTok

このサイトについて

運営者情報› 編集方針と訂正› お問い合わせ› プライバシーポリシー›

© Shirmee

Shirmee/シルミー
知りたいを満たす
  • テクノロジー
  • 人体・医学
  • 宇宙・天文
  • 歴史・考古学
  • 生き物・自然
  • 検索 🔍
Shirmee/シルミー
  • テクノロジー
  • 人体・医学
  • 宇宙・天文
  • 歴史・考古学
  • 生き物・自然
  • 検索 🔍
  1. ホーム
  2. テクノロジー
  3. 夏の日差しを冬までしまっておける液体 触媒に通すと63度温まった

夏の日差しを冬までしまっておける液体 触媒に通すと63度温まった

2026 10/02
テクノロジー
2026年2月27日2026年10月2日
山を背景にした砂漠の太陽熱発電所と集光塔
🕑この記事は約7分で読めます

編集・パクト

夏のあいだにたっぷり降りそそぐ太陽の熱を、そのまま冬までとっておけたら——。暖房にかかるエネルギーを思えば、そんな夢のような話が現実になればどれほど助かるだろう。

じつは、その夢に挑む研究がある。スウェーデンのチャルマース工科大学の研究チームが開発した、特殊な液体だ。太陽光を浴びると分子の形が変わり、そのエネルギーを化学結合として閉じ込める。

太陽のエネルギーを分子に閉じ込めて、長期間しまっておく技術だ。ただし、話題になる数字の読み方には注意がいる。

実際にどこまでできて、実用化はどれほど先なのか、正確に見ていこう。

キク

電気じゃなくて、光のエネルギーを液体にどうやってためるんだろう?

目次

この液体は光のエネルギーを分子の形でためる

色とりどりの液体が入った試験管
Photo by Artem Podrez on Pexels

まず、この技術がふつうの太陽光発電とどう違うのかを押さえておきたい。太陽電池は、光を電気に変える。それに対しこの技術は、光のエネルギーを、分子の「形」そのものに閉じ込めるのだ。

主役となるのは、ノルボルナジエンという分子の仲間(誘導体)だ。チャルマース大学の発表では、この分子は炭素・水素・窒素からなるとされている。

この分子が太陽の光を浴びると、原子の配置がぐるりと組み変わり、クアドリシクランという別の形の分子へと変身する。

この「変身した状態」に、光のエネルギーが蓄えられているのだ。

電池のように電気をためるのではなく、光のエネルギーを分子の結びつき方の違い(化学エネルギー)としてためる。

この高エネルギーの形は「準安定」で、必要なときに元の形へ戻すと、蓄えたエネルギーが熱として出てくる。

この一連のしくみは、MOST(分子太陽熱エネルギー貯蔵)と呼ばれている。太陽の光を、電気でもお湯の熱でもなく、分子の形に変えてためておき、夜や冬など、エネルギーが必要になったときに使う。

ためたエネルギーは最長18年保てるとされる

ためたエネルギーが逃げずに残ることが、長期保存の条件になる。発表によると、研究チームは分子の設計を改良し、エネルギーを蓄えた液体を室温で保存してもエネルギーの損失が最小限になるようにした。

研究チームのリーダー、モース=ポールセン教授(チャルマース工科大学 化学・化学工学科)は「このアイソマー(異性体)のエネルギーは、いまや最長18年間貯蔵できる。取り出して使うときには、期待以上の温度上昇が得られる」と語っている。

ただし、この「18年」が、実際に保存して確かめた期間なのか、計算で見積もった値なのかは、発表文に書かれていない。

論文本文を読めていないため、ここでは確かめられない。

触媒に通すと液体が63度温まった

では、しまい込んだエネルギーは、どうやって熱として取り出すのか。ここで登場するのが、コバルトを使った触媒だ。

発表によると、触媒はフィルターの形をしていて、エネルギーをためた液体をそこへ流すと反応が起きる。液体は温まり、分子は元の形に戻る。

このとき、閉じ込められていたエネルギーが熱として放出される。元の形に戻った分子は、再び光を浴びてエネルギーをためるのに使える。

研究チームは、触媒に液体を通して熱を取り出す実験を行った。ここで、よく紹介される「63度」という数字に注意したい。

これは「63度まで上がった」という意味ではない。実際には、20度だった液体が、触媒を通ったあと83度にまで上昇した。

63度は液体が温まった幅で、到達した温度は83度ということになる。

この測定の条件も知っておきたい。総説によると、触媒は活性炭に載せたコバルトフタロシアニンで、わずか5mgを長さ1cm・内径1mmのテフロン管に入れたものだった。

熱が周囲に逃げないように、反応器は真空容器の中に置かれ、最大で63.4度の温度差が記録された。家庭の暖房に使える規模の装置ではなく、小さな反応器での値だ。

触媒を通る前と後で液体の温度を比べた図

屋上の集光器から触媒までを一巡する液体

チャルマース工科大学の建物の屋上には、この液体に太陽光を当てる集光器が置かれている。

集光器は、中心に管を通した凹面の反射鏡で、太陽の動きを追いながら、管の中を流れる液体に光を集める。発表では、衛星放送のアンテナと同じ原理だと説明されている。

通常の水を流す管を足して、従来の温水システムと組み合わせることもできる。

エネルギーをためた液体は室温で保存され、必要なときに触媒を通して熱を取り出す。以前の方式では液体に可燃性のトルエンが混ぜられていたが、今回はエネルギーをためる分子だけで使えるようにした。

熱を出して元の形に戻った液体は、再び屋上へ送られて太陽光を受ける。発表では、この循環は排出物がなく、分子も傷まないと説明されている。

実用化の前に残る課題

実験室で手元の端末を見る白衣の研究者
Photo by Mikhail Nilov on Pexels

この技術は、まだ実用化にはほど遠い、研究段階のものだ。

この分野をまとめた2022年の総説論文(Chemical Society Reviews)は、過去40年ほどのあいだ大規模な装置は実現しておらず、その理由として、分子の候補を探す基礎的な段階にこの分野がとどまっているためかもしれない、と述べている。

屋上の集光器と触媒を組み合わせた装置が動いた——現在地は、その段階だ。

課題も残る。総説によると、光の吸収を改善しようと大きな置換基を足すと分子量が増え、エネルギーの貯蔵密度が下がる。

今回の論文の分子では、貯蔵できるエネルギーは1kgあたり0.40MJで、太陽エネルギーの貯蔵効率の上限は0.51%と見積もられている。

モース=ポールセン教授は「やるべきことはたくさん残っている。システムがようやく動いたところで、これからすべてを最適に設計する必要がある」と話した。

教授は、温度上昇を少なくとも110度まで高めたいと述べ、10年以内に商業利用が可能になるとの見方を示していた(2018年の発表時点)。

「冬に夏の暖かさを取り出す」という発想は、小さな装置では動いた。ただ、家庭の暖房として普及するかどうかは、まだ分からない。

キク

小さな装置で動いたことと、家の暖房で使えることは、まだ別の話なんだね。

参考文献:
Emissions-free energy system saves heat from the summer sun for winter(Chalmers University of Technology, 2018)
Macroscopic heat release in a molecular solar thermal energy storage system(Energy & Environmental Science, 2019, DOI:10.1039/C8EE01011K)
Status and challenges for molecular solar thermal energy storage system based devices(Chemical Society Reviews, 2022, DOI:10.1039/D1CS00890K)
出典: Chalmers University of Technology / Energy & Environmental Science

YouTubeでも配信中!チャンネル登録よろしくね!
テクノロジー
エネルギー テクノロジー 化学
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
  • 鉱山のダムが崩れて6年、川下の畑のバナナやカカオに有害な金属がたまっていた
  • 1万2000年前に抱き合って葬られた2人、DNAで分かった近い血縁とまれな病気

この記事の編集者

パクトのアバター パクト

科学メディア「シルミー」の運営者。子供の頃から宇宙や生き物の図鑑を読みあさり、大人になった今も科学ニュースを追いかける日々。海外の学術メディアから面白い研究を見つけて、日本語でわかりやすく届けることをライフワークにしています。

関連記事

  • 青空の下、電線に並んでとまるハト
    鳥は電線にとまっても、なぜ感電しないのか 両足が同じ電圧にあるから
    2026年10月30日
  • 雲の上を飛ぶ旅客機の翼
    飛行機はなぜ重いのに飛べるのか 持ち上げているのはエンジンではなく翼
    2026年10月20日
  • 走っている電車の車内
    走る電車の中で真上にジャンプしたら、どこに着地するのか
    2026年10月11日
  • 羽ばたいて宙返りする小型ロボットの連続写真
    1グラムに満たない羽ばたきロボット、AIの操縦で昆虫のように宙返り
    2026年9月23日
  • 大脳皮質が緑に光るマウス脳の断面のイラスト
    大脳皮質がないマウスにヒトの細胞から作った「ミニ脳」を移植、記憶の課題で一部改善
    2026年9月17日
  • 青い背景に浮かぶDNAの二重らせんの模型
    人工の文字を足した「8文字のDNA」も、大腸菌の酵素は天然と同じ形で読んでいた
    2026年9月6日
  • 水滴と小さな放電のイメージ
    雨で車がさびるのは塩のせいだけではない 電気を帯びた水滴が塗装を突き破る
    2026年9月2日
  • 超伝導の量子ビットで回る熱エンジンのイラスト
    車のエンジンと同じ仕組みを、絶対零度近くの量子の回路で回した
    2026年8月15日
シルミーの動画YouTubeで見る
  • 【太陽は燃えていない!?】なぜ太陽は46億年も光り続けられるのか?のサムネイル【太陽は燃えていない!?】なぜ太陽は46億年も光り続けられるのか?
  • 誰も見たことがない地球の中心を、人類はどうやって知ったのかのサムネイル誰も見たことがない地球の中心を、人類はどうやって知ったのか
  • サバンナでなぜシマウマだけ縞なのか 〜150年解けなかった模様の理由〜のサムネイルサバンナでなぜシマウマだけ縞なのか 〜150年解けなかった模様の理由〜
ショートも見る
人気記事
  • スコッチのテープ台にのったセロハンテープ
    セロハンテープをはがす音の正体は、小さな衝撃波の連続だった
  • 密林の道にとぐろを巻く巨大ヘビのイラスト
    インドの炭鉱から、全長11〜15メートルと推定される太古の巨大ヘビ
  • 固まった溶岩の地表に走る裂け目
    「大西洋のグランドキャニオン」と呼ばれる海底の谷が、途中で育つのをやめた理由
  • 緑の背景に描かれた微生物のイラスト
    細菌でがんを内側から攻める130年来の夢、細菌に「点呼」を教えた第一歩
  • 赤銅色に染まった皆既月食の月
    皆既月食の月が赤い理由 次に日本で見られるのは2029年元旦
Shirmee

知りたいを満たす科学メディア

宇宙・テクノロジー・人体・歴史・物理・生物など幅広い科学トピックを、わかりやすく深掘り。最新の研究や発見を、知的好奇心を刺激する記事でお届けします。

カテゴリー
  • テクノロジー
  • 人体・医学
  • 宇宙・天文
  • 歴史・考古学
  • 生き物・自然

キャラクター紹介

キク
キク

長い耳で、なんでも聞きたがるウサギ。気になる穴を見つけたら、すぐ首を突っ込む。

SNS

X YouTube Instagram TikTok
  • 運営者情報
  • 編集方針と訂正について
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ

© Shirmee/シルミー.

目次
X YouTube Instagram TikTok