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冬はなぜ寒いのか 太陽から遠いからではなく、光がななめに当たるから

2026 11/02
宇宙・天文
2026年11月3日
雪の斜面の向こうに低くしずむ冬の太陽と木々
🕑この記事は約8分で読めます

文・パクト

朝の空気が、ひんやりしてきました。冬が寒いのは、地球が太陽から遠くなるから。そう思っている人は少なくありません。

先に答えを言います。地球の軸がかたむいているので、冬は太陽の光がななめに当たり、昼も短くなるからです。

じつは、地球が太陽にいちばん近づくのは1月です。ここからは、宇宙や天気を調べている所の解説とデータを使って、じゅんばんに見ていきます。

目次

太陽にいちばん近いのは、冬の1月

夏は太陽に近いから暑い、と考える人はたくさんいます。NASAの子ども向けの解説は、この考えはもっともらしいけれど、まちがいだと書いています。

地球が太陽のまわりを回る道すじは、きれいな円ではありません。少しだけかたよっています。そのため、太陽に近いころと遠いころがあるのは本当です。

ところが北半球では、太陽にいちばん近い1月が冬で、いちばん遠い7月が夏なのです。

きょりも見てみましょう。太陽までは、いちばん近いときで約1億4700万km、いちばん遠いときで約1億5200万kmです。

差は480万km以上あります。大きな数に見えますが、太陽までのきょり全体からみれば、大きくはありません。ジョージア州立大学の物理の解説では、1年で変わるきょりは1.67%だけです。

NASAも、このきょりのちがいは、天気にあまりかかわらないと書いています。季節を分けているのは、ほかのことなのです。

ななめの光は、うすく広がる

真上から当たる光とななめに当たる光で、光が広がる面積のちがいを表した図
同じ太さの光の束でも、ななめに当たると広い面積に広がります。そのぶん、ひとつひとつの場所に届く光はうすくなります。

その正体は、地球の地軸のかたむきです。地軸は、地球のまん中を上から下までつらぬく、目に見えない棒のようなものです。

地球はこの棒をまん中にして、1日に1回まわっています。だから昼と夜があります。この軸がまっすぐ立たずにかたむいていることが、季節を生みます。かたむきは23.5度です。

では、かたむくと何が変わるのでしょうか。カギは、光が地面に当たる角度です。

地球は丸いので、光がほぼ真上から当たるのは、昼の赤道のあたりだけです。ほかの場所では、光はななめに入ってきます。

光がななめに当たると、同じ光が、より広い面積に広がります。広がったぶん、ひとつひとつのところに届く光はうすくなります。

春分や秋分のころの数字があります。赤道で受けるエネルギーとくらべると、緯度45度のあたりは約70%です。北極圏や南極圏では、約40%まで下がります。

キク

じゃあ東京の太陽は、夏と冬でどれくらい高さがちがうんだろう?

冬の太陽は低く、昼も短い

国立天文台の計算をもとに、東京の太陽の高さをくらべてみます。見るのは、太陽が真南に来て、いちばん高くなるときの角度です。

夏至の6月21日は77.8度です。頭の上に近い高さですね。一方で、冬至の12月22日は30.9度しかありません。冬の太陽は、空の低いところを通るのです。

太陽が低いと、光はななめに当たります。前の章で見た、うすく広がる光です。

昼の長さもちがいます。国立天文台の説明では、昼の長さは太陽の高さで決まります。高いところを通るほど、太陽が空を横切る時間が長くなるからです。

東京の夏至は、日の出が4時25分で、日の入りが19時00分です。冬至は、日の出が6時47分で、日の入りが16時32分です。

昼の長さにすると、夏至はおよそ14時間35分です。冬至はおよそ9時間45分で、4時間50分も短くなります。

うすい光が短い時間しか当たらないので、冬の地面が受けとる太陽のエネルギーは少なくなります。光の角度と昼の長さが、いっしょに働いているわけです。

なお、日の出がいちばんおそい日は、冬至の日ではありません。国立天文台によると、冬至の半月ほど後です。

かたむきの向きは、いつも同じ

宇宙から見た丸い地球
宇宙から見た地球です。アフリカ大陸の上に雲がかかっています。北と南の半球は地球の反対側にあるので、季節が逆になります。
Photo: NASA / Unsplash

地球は、太陽のまわりを回っています。そのあいだも、かたむいた軸は、いつも同じほうを向いています。

ジョージア州立大学の解説は、これを大きなこまにたとえています。回るこまの軸のように、地軸も宇宙の中で向きをたもつのです。

すると、6月ごろは北極の側が太陽のほうへかたむきます。12月ごろは、南極の側が太陽のほうへかたむきます。

北極の側が太陽へかたむくと、北半球は夏です。南極の側がかたむくと、北半球は冬になります。北と南は地球の反対側にあるので、季節も逆になるのです。

もし地軸がまっすぐ立っていたら、どうなるでしょう。NASAの地球観測の解説によると、今のような季節は起きません。赤道と北極・南極のあたたまり方の差が、1年中同じになるからです。

いちばん寒いのは、冬至より後の1月

冬至は、1年でいちばん昼が短い日です。それなら、12月がいちばん寒いはず。そう思うかもしれません。

気象庁の東京の平年値で、たしかめてみます。平年値は、1991〜2020年の30年分の平均です。

まず、地面に届く日ざしのエネルギー(全天日射量)です。東京でいちばん少ないのは12月で、1平方メートルあたり8.1メガジュールです。

ところが平均気温がいちばん低いのは、12月ではなく1月で、5.4℃です。12月は7.7℃でした。

夏も同じです。日射量がいちばん多いのは5月です。でも、いちばん暑いのは8月で、平均気温は26.9℃です。

冬のあいだの動きも見てみます。日射量は、11月の8.6から12月の8.1まで下がります。そのあとは1月に9.4、2月に11.5、3月に13.3と増えていきます。

平均気温は、11月の12.5℃から下がりつづけ、1月の5.4℃が底です。2月は6.1℃、3月は9.4℃と、日射量より少しおくれて上がります。

なぜずれるのでしょうか。アメリカ国立気象局の解説によると、地面や水があたたまるのに時間がかかるからです。1日の中でも、ふつういちばん暑いのは正午の数時間あとです。季節でも、同じようなおくれが起きます。

この解説が書いているのは、夏のおくれです。それでも東京のデータを見ると、冬も寒さの底が、日射量の底より後に来ています。

キク

日ざしがいちばん弱い12月より、1月のほうが寒いんだね!

地軸がかたむいたわけ

夜空にうかぶ満月
夜空の満月です。地球に大きな天体がぶつかったとき、飛び散ったかけらがやがて月になったと考えられています。
Photo: Mike Petrucci / Unsplash

では、そもそも地軸は、なぜかたむいたのでしょうか。これは、まだたしかめられていない話です。

NASAの解説によると、ずっと昔の若い地球に、何か大きなものがぶつかってかたむいたと考えられています。

この考え方では、ぶつかった天体は「テイア」と呼ばれています。ぶつかって飛び散ったかけらは、やがて月になったと考えられています。多くの科学者が、そうみています。

冬の寒さは、太陽とのきょりではなく、光の角度と昼の長さで決まっていました。毎朝の寒さのなかに、ずっと昔の大きな衝突のあとが残っているのかもしれません。そう思うと、冬の低い太陽の見え方が少しかわってきます。

ここが気になる
読んでいて気になりそうな所を、キクが聞きました。答えは元の論文と発表文に書いてあることだけです。
キク

太陽とのきょりのちがいは、まったく効いていないの?

まったくゼロではありません。12月ごろは地球が少し太陽に近いので、南半球が12月(南の夏)に受けるエネルギーは、北半球が6月(北の夏)に受けるより多いと書かれています。

書いてあった所: NASA地球観測所の解説

キク

赤道のあたりにも、夏と冬のちがいはあるの?

赤道では、正午ごろに受けるエネルギーは、季節がめぐってもあまり変わらないと書かれています。

書いてあった所: NASA地球観測所の解説

キク

ぶつかったかけらが月になったって、確かなことなの?

確かめられたことではありません。NASAの解説も、地球に大きなものがぶつかったことを「考えられている」と書き、かけらが月になった話も「多くの科学者が考えている」という書き方にしています。

書いてあった所: NASA Space Placeの解説

参考文献:
主な資料: NASA Space Place, What Causes the Seasons?(2025年7月29日更新)
主な資料: NASA Earth Observatory, Climate and Earth’s Energy Budget
基礎知識: NOAA National Weather Service(アメリカ国立気象局)Cleveland, The Seasons, the Equinox, and the Solstices
基礎知識: HyperPhysics(Georgia State University, R. Nave), Seasons
データ: 国立天文台 暦計算室, 日の出入り@東京 2026年6月 / 2026年12月
データ: 気象庁, 過去の気象データ検索 東京 平年値(1991〜2020年)
基礎知識: 国立天文台, よくある質問「1年のうちで、日の出、日の入が一番早い日(遅い日)はいつ?」

アイキャッチ画像: Photo: Cristina Gottardi / Unsplash

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この記事を書いた人

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科学メディア「シルミー」の運営者。子供の頃から宇宙や生き物の図鑑を読みあさり、大人になった今も科学ニュースを追いかける日々。海外の学術メディアから面白い研究を見つけて、日本語でわかりやすく届けることをライフワークにしています。

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