MENU
  • テクノロジー
  • 人体・医学
  • 宇宙・天文
  • 歴史・考古学
  • 生き物・自然
  • 検索 🔍

ジャンル

テクノロジー 人体・
医学
宇宙・
天文
歴史・
考古学
生き物・
自然
すべての
記事

特集

身近な「なぜ?」電線の鳥はなぜ感電しない? など› 新しい研究のニュース元の論文で確かめた最新の発見›

動画とSNS

YouTube X Instagram TikTok

このサイトについて

運営者情報› 編集方針と訂正› お問い合わせ› プライバシーポリシー›

© Shirmee

Shirmee/シルミー
知りたいを満たす
  • テクノロジー
  • 人体・医学
  • 宇宙・天文
  • 歴史・考古学
  • 生き物・自然
  • 検索 🔍
Shirmee/シルミー
  • テクノロジー
  • 人体・医学
  • 宇宙・天文
  • 歴史・考古学
  • 生き物・自然
  • 検索 🔍
  1. ホーム
  2. 人体・医学
  3. 国会の審議が長い府省ほど職員の外来医療費が高い傾向 霞が関の8年間

国会の審議が長い府省ほど職員の外来医療費が高い傾向 霞が関の8年間

2026 10/25
人体・医学
2026年10月25日
夜、たくさんの窓に明かりがともるオフィスビル
🕑この記事は約12分で読めます

文・パクト

シルミー

はかせ、国会でたくさん質問される役所の人って、そのぶん病院に行くことも多いの?

はかせ

いいところに目をつけたね。霞が関の10の府省で、それを数字で確かめた研究があるんだ。

国会で大臣が答える答弁は、役所の職員が議員の質問を受けてから、短い時間で用意しています。忙しい仕事なのは想像がつきますが、それが職員の体にどう響いているのかを示すデータは、これまで限られていました。

慶應義塾大学の佐藤豪竜専任講師らのチームは、霞が関の10府省で働く国家公務員の医療費の記録を8年分調べました。その結果、職員1人当たりの国会の審議時間が長い府省ほど、病院や診療所に通う外来の医療費が高い傾向が見られました。

論文は2026年10月11日付で、労働衛生の学術誌『Scandinavian Journal of Work, Environment & Health』に掲載されています。ただ、これは府省ごとの数字を並べて比べた研究で、忙しさが病気を生んだと決まったわけではありません。どこまで言えて、どこから先はまだ分からないのかも、順に見ていきます。

目次

府省によって2倍以上ちがった外来医療費

府省ごとの職員1人当たりの外来医療費を比べた棒グラフ
性別と年齢のかたよりをそろえた、2016〜2023年の1人当たりの外来医療費です。10府省のうち、高いほうと低いほうの府省を並べました。

まず目を引くのは、府省ごとの差の大きさです。性別と年齢のかたよりをそろえて計算すると、2016〜2023年の職員1人当たりの1か月の外来医療費は外務省の2,374円から厚生労働省の5,125円まで、2倍以上開いていました。

高いほうから並べると厚生労働省の5,125円、法務省の5,056円、農林水産省の4,637円です。低いほうは外務省の2,374円、財務省の3,016円、経済産業省の3,246円と続きます。

金額の差は、どこから生まれていたのでしょうか。論文は、医療費を「1人当たりの件数」と「1件あたりの金額」に分けて見ています。

ここで数えているのはレセプト(診療報酬明細書)です。保険で医療を受けるたびに作られる、病院から保険への請求の記録です。1人1か月あたりのレセプトの数は平均0.44件で、少ない外務省の0.26件から、多い法務省の0.59件まで開きがありました。

一方で1件あたりの金額は平均73.2ドルで、財務省の67.4ドルから外務省の77.3ドルまでと、差は小さめでした(論文は円をドルに直して計算しています)。府省による開きは、1件あたりの金額よりもレセプトの件数のほうがずっと大きかったことになります。

答弁づくりは夜から翌朝まで

国家公務員には、原則として労働基準法が当てはまりません。そのため、法律で決まっている残業時間の上限の外にいます。

長い勤務につながる仕事の代表が、国会への対応です。議員の質問を受けて、答弁の案や資料を急いでそろえます。質問の知らせが遅れたり、ほかの府省との調整が要ったりすると、さらに時間がかかります。

どれほど遅くまで続くのかは、これまでの調査にも出ています。内閣人事局が2022年の国会について調べたところ、各府省が最後の答弁づくりに取りかかれたのは平均で前日の19時08分でした。すべての答弁がそろったのは、翌朝の5時06分です。

霞が関の携帯電話の位置データを使った別の研究では、書面での質問がひとつ増えるだけで、30人を超える公務員が23時を過ぎても職場に残っていました。

2020年の書籍『ブラック霞が関』では、厚生労働省で働いた元公務員が、月に150〜200時間の残業をしていたと振り返っています。

今回の論文の補足資料には、クリスマスイブの夜にも厚生労働省の入る建物に明かりがともっている写真が載っています。

長く働くことと体の関係については、これまでに海外で大きな研究がまとめられています。2015年に学術誌『Lancet』に載った別の研究は、ヨーロッパ・アメリカ・オーストラリアの25の研究をまとめました。週55時間以上働く人は週35〜40時間の人より、脳卒中の相対リスクが1.33、冠動脈の心臓病が1.13でした。心臓病との関係は、脳卒中より弱いとしています。

2018年に発表された別のまとめは、35か国の約19万人のデータを使いました。長時間労働とうつの症状の出始めとの関係はアジアで1.50と中くらい、ヨーロッパで1.11と弱く、北米とオーストラリアでは見られませんでした。

国会の審議時間を「忙しさのものさし」に

病院の請求の記録を使う

使ったのは、財務省が毎年行っている共済組合の医療の調査です。2016〜2023年の毎年4月に審査されたレセプトから、約5%を抜き出したデータでした。日本ではかかりつけ医を通さなくても診療所にも病院にも直接かかれるので、保険で受けた外来の受診は記録に残る、と論文は説明しています。

対象は10府省の本府省で働く18〜50歳の職員で、外来のレセプトは6,454件、のべ252,830人年分です。防衛省は、働き方の大きく違う自衛隊員が多いため外されました。入院のレセプトは57件しかなく、分析できませんでした。

本府省に籍があっても、国会の負担が軽い地方の機関などに出向している職員もいるかもしれません。その傾向は50歳を超えると強いと考えられるため、主な分析から外しています。

審議時間の数え方

忙しさの目安にしたのは、国会の常任委員会の審議時間です。研究チームは国会の会議録を自動で集め、各府省の分野を受け持つ衆議院と参議院の常任委員会について、年間の審議時間を数えました。その時間を本府省の職員の数で割り、1人当たりの負担の目安にしています。予算委員会は全部の府省にまたがるため、数に入れていません。

審議時間が長いと、なぜ忙しくなるのでしょうか。議員ひとりあたりの質問時間は、ふつう15〜30分ほどの短い枠に分けられています。審議が長いほど質問できる議員が増え、府省が用意する答えの数や複雑さも増えると考えられる、と論文は書いています。

分析では、前の年の審議時間と次の年の4月の外来医療費を、府省と年の組ごとに結びつけました。一人ひとりの残業時間や、本人が国会の仕事に関わったかどうかは、データに入っていません。著者たちによると、府省ごとの外来医療費の違いを示して国会の仕事量との関係を調べたのは、知る限りこの研究が初めてです。

審議時間が1%長いと、医療費は0.25%高い

8年間の審議時間を足し合わせると、一番長かったのは厚生労働省の2,534時間でした。2位の内閣府の1,528時間より、1,000時間以上も長かったことになります。

ただし職員の人数で割ると、順番は変わります。職員100人当たりの審議時間は法務省の14.67時間が一番長く、厚生労働省の9.16時間が続きました。一番短いのは外務省の2.38時間です。

研究チームは、年ごとに全体で起きた変化をそろえたうえで、審議時間と医療費の関係を調べました。すると、前の年の1人当たりの審議時間が1%長い府省ほど、翌年4月の外来医療費が0.25%高い傾向がありました。推定の幅を示す95%信頼区間は、0.04〜0.46%でした。

この差を生んでいたのは、1件あたりの金額ではありませんでした。審議時間と関係していたのは、1人当たりのレセプトの件数のほうです。

働く人を守る役所が、医療費でも審議時間でも一番上に

厚生労働省は、1人当たりの外来医療費が10府省で一番高く、8年間の審議時間も一番長い府省でした。平均を上回った医療費のうち一番大きかったのは、精神と行動の障害、つまり心の病気の医療費です。論文は、これが長時間労働と心の健康を結びつけてきた文献と合う、と書いています。

著者たちは、働きすぎから働く人を守るはずの役所が、受診の多さの表の一番上にいるように見えたことを「見逃しにくい皮肉」と書いています。

一方で論文は、厚生労働省の結果には注意が要るとも書いています。研究の期間には新型コロナの流行と政府の統計の不適切な扱いの問題が重なり、どちらも厚生労働省が関わっていました。国会での追及だけでなく、ほかの仕事も増えていたと考えられるからです。

法務省は、医療費で厚生労働省のすぐ下にいました。職員1人当たりの審議時間では10府省で一番長い府省です。法務省の医療費はひとつの病気ではなく、がんなどの新生物・呼吸器・消化器と、複数の分野で平均より高くなっていました。

当てはまらない府省もあります。財務省は1人当たりの審議時間が3番目に長いのに、外来医療費は2番目に低い府省でした。忙しさのせいで病院に行く機会が減っていた可能性を否定できない、と論文は書いています。ただ、10府省全体では1人当たりの審議時間が長いほどレセプトの件数も多く、忙しいほど受診が減るという形は見られなかった、とも述べています。

経済産業省は、2026年に官庁として初めて健康経営優良法人に認定されました。ただ、認定は研究の期間より後のことで、今回の結果を直接説明するものではないと論文は断っています。

府省の違いをそろえると、関係ははっきりしなくなった

この結果を読むうえで、大事な点があります。府省ごとの変わらない特徴まで差し引いた分析では、はっきりした関係が見られなかったのです。変わらない特徴の例は、担当する分野や組織の文化、採用のされ方などです。

理由は、審議時間のばらつきの83.5%が、府省どうしの違いだったことです。同じ府省の中で年ごとに比べると、審議時間はあまり変わらず、関係も弱いものでした。そのため論文は、0.25%という関係を、主に府省どうしの長く続く違いを映したものとして読むよう求めています。

府省を1つずつ外して計算し直すと、厚生労働省を外したときは0.21(95%信頼区間-0.01〜0.44)、外務省を外したときは0.18(同-0.03〜0.39)に弱まりました。医療費が一番高い府省と一番低い府省のどちらを外しても、関係は弱まったことになります。

51〜64歳の職員を加えると、関係は0.06まで弱まりました。論文はこれを、予想どおりの結果としています。

医療費が高いことは、体調が悪いこととイコールではない

発表文も論文も、この研究が示したのは相関関係で、因果関係ではないとはっきり書いています。府省という集団ごとの数字を比べる生態学的研究なので、原因を言い当てる力には限りがあるのです。

外来医療費は、体の調子だけを映すわけではありません。医療費が高いのは、症状に気づきやすかったり、病院にかかりやすかったりするためかもしれません。反対に医療費が低いのは、必要な医療を受けられていないことを一部映している可能性もあります。

論文は、仕事の負担の影響は上司や同僚の支えなどによって変わるという考え方を挙げ、こうした要因は考えに入れられなかったと書いています。

データの面での弱さもあります。調べたのは毎年4月に審査されたレセプトの約5%だけで、その多くは2月の受診分なので、季節による違いは分かりません。レセプトは名前を伏せた記録で、同じ人が何度もかかったのかどうかも見分けられません。

国会の仕事の中身も区別できていません。法案の審議と危機や不祥事への対応とでは、同じ負担でも意欲への響き方が違うかもしれない、と論文は述べています。研究チームは今後の課題として、一人ひとりの労働時間やストレスと健康状態を結びつけた、より大規模で詳しい研究を挙げています。

シルミー

忙しい府省ほど病院にかかる人が多いってことは、忙しさで体をこわしてるってこと?

はかせ

そう決めつけるのはまだ早いんだ。府省ごとの数字を比べて、そういう傾向が見えただけで、一人ひとりの体に何が起きたかは、これからの研究で確かめることなんだよ。

病院の請求の記録と国会の会議録という別々の目的で残されたふたつの記録を組み合わせて、外からは見えにくい役所の忙しさに数字で迫ったところに、この研究の工夫があります。府省の差が働き方から来ているのかどうかは、個人のデータで確かめられたときに、ようやく見えてくるはずです。

参考文献:
一次ソース: Sato K, Kato H, Inoue K, Kondo N, Kawachi I., Parliamentary workload and outpatient medical costs among Japanese national civil servants: An ecological study in Kasumigaseki(Scandinavian Journal of Work, Environment & Health, 2026)DOI:10.5271/sjweh.4338
研究機関: 慶應義塾大学・京都大学・横浜市立大学・ハーバード大学公衆衛生大学院 / 発表文: 京都大学・慶應義塾大学「国家公務員の外来医療費、府省間で2倍以上の差」
別の研究: Kivimäki M et al., Long working hours and risk of coronary heart disease and stroke(Lancet, 2015) / Virtanen M et al., Long working hours and depressive symptoms(Scandinavian Journal of Work, Environment & Health, 2018)DOI:10.5271/sjweh.3712

アイキャッチ画像: Photo: K. K. Yam Amot / Unsplash

YouTubeでも配信中!チャンネル登録よろしくね!
人体・医学
メンタルヘルス 健康 身近な疑問
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
  • カラスは見て決めるのがサルや人のおよそ2倍速かった 決め方の仕組みは似ていた
  • 初期の鳥がみな空を目指したわけではなかった ジュラ紀の飛べない鳥

この記事を書いた人

パクトのアバター パクト

科学メディア「シルミー」の運営者。子供の頃から宇宙や生き物の図鑑を読みあさり、大人になった今も科学ニュースを追いかける日々。海外の学術メディアから面白い研究を見つけて、日本語でわかりやすく届けることをライフワークにしています。

関連記事

  • 床に座って幼い男の子を後ろから抱きしめる女の子
    上にきょうだいがいる幼児は、腸内細菌の「多様性が低いタイプ」になりにくい
    2026年10月17日
  • 研究室の机の上で、目の検査の機械のそばにいる黒いマウス
    目の奥にも「排水路」があった 液が首のリンパ節へ流れ出る道をマウスで確認
    2026年10月12日
  • 研究室の机に置かれたゼブラフィッシュの皿と顕微鏡、奥に見えるMRI装置
    麻酔が効いた脳は活動が長続きしにくく、足並みもそろいにくい ヒトから線虫まで
    2026年10月9日
  • チーズとバターが並んだ食卓
    ケトン食でマウスの小腸の腫瘍が増え大腸では減った 鍵はケトン体でなく脂肪
    2026年10月9日
  • 病室のベッド脇に置かれた病院食と甘い飲み物、点滴スタンド
    抗生物質と甘いものが重なると腸内細菌の乱れが大きくなる 患者の記録とマウスで
    2026年10月8日
  • 夜のベッドで眠る女性と青い波のイラスト
    コーヒーを飲んでも眠れる人も、深い眠りは減っているかもしれない
    2026年9月24日
  • 赤血球の中に1つだけ青く色づけた赤血球のCG
    ABOとRhだけじゃない血液型、50年なぞだった「印」の遺伝子が分かり47番目に
    2026年9月21日
  • 真珠のように連なる神経の軸索のCGイラスト
    神経の配線は、なめらかな管ではなく「真珠のネックレス」だった マウスの脳で
    2026年9月19日

コメント

コメントする コメントをキャンセル

シルミーの動画YouTubeで見る
  • 【太陽は燃えていない!?】なぜ太陽は46億年も光り続けられるのか?のサムネイル【太陽は燃えていない!?】なぜ太陽は46億年も光り続けられるのか?
  • 誰も見たことがない地球の中心を、人類はどうやって知ったのかのサムネイル誰も見たことがない地球の中心を、人類はどうやって知ったのか
  • サバンナでなぜシマウマだけ縞なのか 〜150年解けなかった模様の理由〜のサムネイルサバンナでなぜシマウマだけ縞なのか 〜150年解けなかった模様の理由〜
ショートも見る
人気記事
  • スコッチのテープ台にのったセロハンテープ
    セロハンテープをはがす音の正体は、小さな衝撃波の連続だった
  • 密林の道にとぐろを巻く巨大ヘビのイラスト
    インドの炭鉱から、全長11〜15メートルと推定される太古の巨大ヘビ
  • 固まった溶岩の地表に走る裂け目
    「大西洋のグランドキャニオン」と呼ばれる海底の谷が、途中で育つのをやめた理由
  • 緑の背景に描かれた微生物のイラスト
    細菌でがんを内側から攻める130年来の夢、細菌に「点呼」を教えた第一歩
  • 赤銅色に染まった皆既月食の月
    皆既月食の月が赤い理由 次に日本で見られるのは2029年元旦
Shirmee

知りたいを満たす科学メディア

宇宙・テクノロジー・人体・歴史・物理・生物など幅広い科学トピックを、わかりやすく深掘り。最新の研究や発見を、知的好奇心を刺激する記事でお届けします。

カテゴリー
  • テクノロジー
  • 人体・医学
  • 宇宙・天文
  • 歴史・考古学
  • 生き物・自然

キャラクター紹介

キク
キク

長い耳で、なんでも聞きたがるウサギ。気になる穴を見つけたら、すぐ首を突っ込む。

SNS

X YouTube Instagram TikTok
  • 運営者情報
  • 編集方針と訂正について
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ

© Shirmee/シルミー.

目次
X YouTube Instagram TikTok