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ストレスを受けたマルハナバチ、細かい模様は見分けやすく、薄い濃淡は見えにくくなった

2026 10/28
生き物・自然
2026年6月22日2026年10月28日
黄色い花にとまるマルハナバチ
🕑この記事は約5分で読めます

編集・パクト

マルハナバチに短時間のストレスを与えると、細かい縞模様を見分ける力が上がり、選択の判断も速くなった。

英ニューカッスル大学のチームが2026年6月、学術誌『Journal of Experimental Biology』(229巻11号)に発表した。

ただし、薄い濃淡を見分ける力はむしろ下がっていて、単純に目が良くなったわけではない。

目次

マルハナバチを揺さぶってストレスを与える

「ニセの襲撃」を再現する仕掛け

ニューカッスル大学のVivek Nityananda博士と、現在はバーミンガム大学に所属するOlga Procenko博士は、クッションを内側に敷いた小さなケージにマルハナバチを入れて60秒間揺さぶり、捕食者に襲われたときのようなストレスを与えた。

縞模様でハチの視覚をテスト

そのあと、Y字迷路で、揺さぶったハチと揺さぶっていないハチの視覚と判断を比べた。ハチは、横縞の先に砂糖水のごほうびがあることを、あらかじめ学習していた。

さらに、縞模様の細かさとコントラスト(濃淡の差)のそれぞれについて、ハチが見分けられる限界を測った。これによって、見分けられる限界の「細かさ」と「淡さ」を、別々に調べることができる。

この2つは別々の能力であり、今回の研究の肝は、その2つが逆方向に動いたことにある。

細い縞模様の見分け力は上がった

揺らされたハチの方が、揺らされていないハチよりも、より細い縞模様を正しく区別できたのだ。

空間的に近い模様を分けて認識する力(空間分解能)が伸びていた。

ストレスでこうした変化が起きる神経の仕組みは、まだ分かっていない。

研究チームは今後、変化の裏にある神経の仕組みに加え、ストレスの種類や長さによって見え方がどう変わるかも調べる予定だという。

キク

ストレスを受けたハチが細い縞を見分けやすくなったなら、薄い縞も見やすくなったのかな?

一方で薄い濃淡は見えにくくなった

ただし、すべての視覚能力が一律に上がったわけではない。ここが重要なところだ。淡い、コントラストの弱い縞模様を見分けるには、より強いコントラストが必要になり、この力はむしろ下がっていた。

細かさを見る力は上がり、淡さを見る力は下がる——正反対の変化が同時に起きていたのだ。

研究チームは、ストレスが視覚を全体的に高めたのではなく、状況に合わせて的を絞って調整したと見ている。

Procenko博士は「ハチにとっては、花の上に隠れたカモフラージュしたクモのような、小さな細部を見つける力が高まるということかもしれない」と話す。

判断は速くなったが、正確さは変わらなかった

見え方の変化に加えて、判断の速さも変わった。ストレスを受けたハチは、選択に踏み切りやすく、迷ったり選ぶのを避けたりすることが少なかった。

それでも正解率は下がらなかった。論文によると、判断が速くなったのは、早い段階の見え方の判断が正しかったときだった。

Procenko博士は「具体的には、ストレスは、ハチが早い段階の知覚の判断に基づいて行動し、選択に踏み切る準備を高め、しかも正確さを損なわずに、より速く踏み切れるようにした」と話している。

キク

ストレスを受けたハチは、細かい模様が見やすく薄い濃淡が見えにくくなったうえに、速く決めても正解率は下がらなかったんだ。

ストレスが役立つ場面もある

Nityananda博士は「ストレスはマイナスのものだが、行動の仕方を変えることで、この先の困難に備えさせることもある」と話す。

今回の結果は、短時間のストレスが、判断より前の「見る」段階から働きを調整していることを示している。

Procenko博士は「ストレスは視覚を単純に損なったり高めたりするのではなく、生態学的に意味のある形で作り変える」と話す。

人でもストレスで視覚は変わるが、その方向は種で違い、人は粗い特徴を、ハチは細かい特徴を優先しやすいという。

人の研究やロボットへの応用

人でも、ストレスで見え方や注意が変わることがこれまでの研究で示されている。研究チームは、似た仕組みが種を超えて存在するのかもしれないとしている。

Nityananda博士は、この仕組みを理解することが、ストレスの多い環境での人の脳の研究や、見た情報からすばやく判断するロボットの開発にも役立つ可能性があると話している。

参考文献:
Procenko, O., & Nityananda, V. (2026). Acute stress modulates early visual perception and decision-making speed in bees. Journal of Experimental Biology, 229(11), jeb251716. DOI: 10.1242/jeb.251716
ニューカッスル大学のプレスリリース: Stress gives bees sharper vision and faster reactions

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この記事の編集者

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科学メディア「シルミー」の運営者。子供の頃から宇宙や生き物の図鑑を読みあさり、大人になった今も科学ニュースを追いかける日々。海外の学術メディアから面白い研究を見つけて、日本語でわかりやすく届けることをライフワークにしています。

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